授業情報

仏教塾第31期始まる

日付:2018年10月10日

生きる指針を求め、44名が入塾
「ありのままに見る」ことを目指す第1回修行


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皆で三帰依文、四弘誓願を唱える  
 東京国際仏教塾は第三十一期に入り、四十四名の塾生を迎えて入門課程が始まりました。

 内訳としては男性三十名、女性十四名。年齢別では五十代が最も多くて十四名。続く六十代は九名。六十代の比率が減少し五十代と逆転したのが今期の特徴と言えます。最年少は二十六歳、最高年齢は八十六歳で、平均年齢は昨年とほぼ同じです。出身地は例年通り首都圏が多いものの、岩手、鹿児島など遠方からの参加者もおられます。

開講記念講演は竹村牧男・東洋大学学長に

 第三十一期の開講式は四月二十日東京・本郷の東京大学仏教青年会館で三十期閉講式と併せて行われ、新旧塾生ならびに講演の聴講に来られた塾の会会員など約七十名の方が参加しました。

 朝十一時、式は大熊信嗣学監の先導のもと「三帰依文」と「四弘誓願」の斉唱から始まりました。続いて三十期生への修了証の授与、新塾生の紹介、塾関係者のご挨拶がありました。最後に入塾者代表が精進の誓いを述べて終了しました。

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  修了証の授与
 大洞龍明塾長は「刹那の人生を永遠の眼で見つめる、こだわりをすててありのままの自分に出会う、人生の真実を明らかにする」といったスローガンを掲げ、超宗派の還暦得度運動として塾を立ち上げたが還暦にこだわる必要はなく、どんな年齢であっても人生を新に生きていくことができる旨、また五百人以上の出家得度者を輩出した三十年間の塾の活動を支援された関係者への謝意を述べられました。

 吉田實・塾の会会長は「修了される方はこれからの人生に生かし、これから学ぶ方は様々な体験をして学びの時を有効に過ごしていただきたい」と挨拶されました。

 式典に続き、開講記念講演として竹村牧男・東洋大学学長から「大乗仏教の心」という演題でお話いただきました。竹村先生は私たちがこれから学ぶ大乗仏教の成立事情を概説し、主要経典の紹介を通じて大乗経典の真意は「仏の大悲を説くこと」にあるとお話されました。

実践を通じ仏教を学ぶ第一回修行

 第一回修行は千葉県大多喜町の日蓮宗妙厳寺・南無道場にて行われ、受講生は二泊三日の修行に臨むことになりました。A組は四月二十一日、B組は五月三日に始まり、それぞれ二十一名、十九名の受講生が参加しました。

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本堂でのお勤め  
 指導くださるのは妙厳寺住職・野坂法行師。また専門課程・日蓮宗コースを修了された卒業生の方が研修指導や食事作りなどの手伝いをしてくださいました。

 初日は受講生が五井駅に集合してバスで妙厳寺へ。午後一時より本堂にて開講式。全員で『法華経』如来寿量品第十六などをお唱えした後、大熊学監からは「如実修行(行うべきことを集中してやる)の精神で、一つ一つの行いを丁寧に行うように」と、また、野坂師からは、「我々は自分のひいき目で物事を見てしまい、ありのままの事実を見失いがちです。ありのままに見るトレーニングをしましょう。」とそれぞれ挨拶がありました。


 
◆大熊学監の講義◆

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  四弘誓願について解説する大熊学監
 開講式が終わると早速大熊学監の講義です。最初のテーマは「学ぶこころ」。仏教塾では何を学ぶのかについてお話がありました。仏教とは私たちが仏となる教えでもあること、「四弘誓願」の衆生無辺請願度の句には大乗仏教の特徴が現れている旨のお話がありました。最後には茶器いっぱいのお茶に注いでもこぼれてしまうという譬えをひいて、「心の器を空にして学ぶ姿勢が大切である」と説かれました。

 二日目午前の授業では仏教教団の起源や戒律について説明があり、午後の授業では仏教が日本にどのように伝わったかを学び、寺の役割についても考察しました。その中で無住寺が増加している日本仏教の現況についてのお話もありました。


 
◆野坂師講話◆

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  野坂師のユーモア溢れる講話
 初日および二日目の夕方は野坂師による講話です。 

 第一回は『仏法を識る者は世法を得る』と題し、日蓮宗の立場からお話しされました。

 野坂師は、宗教は根本という意味であり、人生において根本にあたる宗教がなかったら根無し草に過ぎないと述べられ、宇宙・自然界の調和の世界を象徴的に表した大曼荼羅本尊から導きだされる基本的な考えは「この世の全てのものはお互いに関わり合い、支えあって存在する。そして存在するすべての『人』『もの』はそれぞれに役割があってかけがえのない存在である」こととした上で、仏法を学び、知るとは、「宇宙の大法=仏の意志によってできているこの世界のあるべき様に気づかせてもらう」ことであり、それによって我々は身勝手な生き方から離れて、仏=自然の恵み・宇宙の摂理をわきまえた生き方ができ、住みよい社会や平和につながる旨のお話がありました。

 二日目の講話は「行軌作法」。つまり御宝前での作法。御宝前における立ち振る舞いとして大切なのは「尊重の精神」と「厳粛な態度」であるとし、それらを成り立たせる手立てや読誦の心構えと方法について実例も交えつつお話されました。最後に宗教的心境と立ち振る舞いは連動しているとして道元禅師の「威儀即仏法 作法是宗旨」という言葉で締めくくられました。

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野坂住職・大熊学監を囲んでA組の皆さん方


 
◆静坐・唱題行◆

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  一心にお題目を唱える
 夕方は本堂で「唱題行」を行います。浄心行、唱題行、深心行の三つから構成されており、浄心行においては数息観により調身、調息、調心を行い、雑念から離れることを目指します。唱題行では太鼓の音にあわせて一心に「南無妙法蓮華経」と題目を繰り返し唱え、最後の深心行で、再び心を静めていきます。

 野坂師は「ものごとをありのままに見ていくためには、それを見失わせる自己中心性をそぎ落とすことが大切。このような行法により我々は妙法の中に身を置いていることが実感できるようになる。今回の体験を通じ、その一端を感じていただけたら幸いです。」とお話しされました。


◆作務・食事作法など◆

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  感謝の気持ちで食事を頂く
 この他、朝食の前と午後の講義終了後には作務があります。朝の内作務では本堂内部・周辺、庫裏をつなぐ廊下などを掃除し、外作務では敷地内の清掃、草取り、また風呂を沸かすためのまき割りも行いました。

 食事も修行の一環。配膳も受講生自身で行い、正座をして作法に従い食事をとることになりますが、当初は戸惑いの表情もちらほら見受けられました。最後に食器にお茶を注いで、一切れのたくあんでふき取り、飲み干します。食事を通じて「我々が余所から命をいただき、生かされていること」を再認識させられました。

 また、希望者には太鼓の指導もありました。野坂法靖師や塾先輩の柳沢、関口師指導のもと、日蓮宗の勤行には欠かせない太鼓を実際に鳴らしてみて、受講生はその難しさや面白さを感じていました。
 

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  野坂住職・大熊学監を囲んでB組の皆さん
 


◆自己紹介・フリーディスカッション◆

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話し合いでは議論百出  
 二日目朝は参加者の自己紹介。現職、退職いずれの立場であれ、生きていく指針を求めて受講を希望しておられるようでした。また、手伝いに来てくれた塾先輩からは「法友の会」を結成して、旅行や勉強会を通じ研鑽を積んでいる旨の紹介がありました。

 最終日のフリーディスカッションでは受講生から今回修行についての感想が寄せられる一方、彼らの様々な疑問に講師陣が答えておりました。マインドフルネスや経済と仏教の関係なども話題に挙がり、A、B両組とも盛り上がりを見せました。

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  夜には法華太鼓を体験
 閉講式では、大熊学監は「初心を忘れずに着実に進んで行ってください」と述べ、野坂師は「日常に戻って仕事をする中で、今回学んだことを活かしていただきたい。」と締めくくられました。

 A、B両組ともおおむね天候にめぐまれた三日間でした。自然豊かな環境の中で、日常生活から離れて無心に作務や瞑想を行うことができ、僅かなりとも計らいから離れた「ありのままの世界」を実感できたのではないでしょうか。

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