仏教童話

仏教童話『不平の戒め』

日付:2014年9月10日 関連記事:仏教文化170号

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 むかし、あるくに広大こうだい土地とち長者ちょうじゃんでおり、おおくの奴隷どれい使つかって耕作こうさくさせておりました。

 あるのこと、長者ちょうじゃつま女奴隷おんなどれいのそれぞれにおとこまれました。二人ふたりは、おな屋敷やしきなか成長せいちょうしましたが、奴隷どれい文字もじ自由じゆうきできるようになり、見目みめうるわしい青年せいねん成長せいちょうしました。をカターハカといいました。かれ長者ちょうじゃいえ財産管理ざいさんかんりまかせられるようになりました。

 あるときかれ隣村となりむら主人しゅじん友人ゆうじんである長者ちょうじゃのことをおもし、なんとかそのむすめ婿むこはいり、安楽あんらくらせないものかとかんがえました。『わたしどもにはカターハカというせがれがおりますが、一昨年いっさくねんのある会合かいごう貴方あなた息女そくじょ見初みそめまして婿入むこいりしたいともうしております。是非ぜひせがれねがいをおとどけくださいますよう。』とため手紙てがみき、長者ちょうじゃいんしました。それからきん衣類いるいなどをくらからし、早速さっそく隣村となりむら長者ちょうじゃいえへとかけていきました。カターハカは手紙てがみして長者ちょうじゃとの面会めんかいうと、長者ちょうじゃかれ一目ひとめ信用しんようし、むすめあたえ、一緒いっしょまわせることにしました。

 一方いっぽうまえ主人しゅじんいえでは、カターハカがきゅうにいなくなったので八方はっぽうくしてさがしていました。あるのこと、使つかいのものかれ居場所いばしょ長者ちょうじゃ報告ほうこくすると、「だいそれたことをしでかしたものだ。れてかえろう」と早速さっそく大勢おおぜいともれてかけることにしました。そのうわさはカターハカのみみにもとどきました。

 「きっとわたしのことでるのにちがいない。」とおもったかれ村人達むらびとたちところかけ「みなさん、私達わたしたち父母ふぼ大切たいせつにしなくてはいけない。父母ふぼ一緒いっしょ食事しょくじをするときにれいをしないのは失礼しつれいなことだ。わたし両親りょうしん食事しょくじをなさるときにはつぼささげ、みずおうぎ用意よういしてすわっているのだ。」といました。

 まえ主人しゅじんがいよいよちかくのもりまでたとのらせがはいるとカターハカはともしたがえ、主人しゅじんのいるもりまでかけていきました。そして主人しゅじんまえにひざまずいて挨拶あいさつをし、ともかえらせ一人ひとりになると、奴隷どれい作法さほうふたた主人しゅじんまえて「ご主人様ごしゅじんさま、おいかりはごもっともとおもいますが、どうかおゆるしください。どうかわたしいま生活せいかつうしなわずにむようにしてください。おねがいします!」と懇願こんがんしました。主人しゅじん長者ちょうじゃはカターハカの懸命けんめいにかしずく姿すがたに、「心配しんぱいしなくともよい、わしには、なにもおまえ不幸ふこうにしようなどという気持きもちはないのだ」とってむらっていきました。長者ちょうじゃいえでのもてなしは大変たいへんなものでした。そのあいだ、カターハカは奴隷どれい作法さほうで「ちち」につかえましたが、村人むらびとたちはさきかれから父母ふぼへのつかかたいていたので、その献身けんしんぶりをうたがものはおりませんでした。

 いよいよくにかえろうという前日ぜんじつ長者ちょうじゃかれよめに「わたしせがれ貴方あなた大切たいせつにしているかね。」とたずねると、よめかおくもらせこたえました。「食事しょくじ不平ふへいおおくてこまります。」「わたしがその不平ふへいめる方法ほうほうおしえてあげよう。いまからとなえるうたをよくおぼえて、せがれ食事しょくじ不平ふへいならべだしたらってやるがよい」とってあるうたおしえ、翌日よくじつってきました。カターハカは、そのからきゅう態度たいど高慢こうまんになり、かれ食事しょくじ不平ふへいいだしたときよめはそのうたとなえました。
 
らぬとおもい くに
不平ふへいばかりで 高慢こうまん
態度たいどをとれば るがよい
かえるおまえを つものは
破滅はめつのほかに ないことを
さあしょくをとれ カターハカ

 カターハカはこのうたいて主人しゅじん長者ちょうじゃが、つま自分じぶん一切いっさいはなかせたにちがいないとおもい、二度にど食事しょくじ不平ふへいくちにしなくなりました。

(ジャータカ一二五)

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