仏教童話

仏教童話『悪行の報い』

日付:2015年5月 8日

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 そのむかし、ヒマラヤ地方ちほう兄弟きょうだいのサルがいました。この二匹にひきおおくのサルをしたがえ、えないははザルをやしないながら仲良なかよらしていました。

 かれらはははザルをのこし、れをひきいてものあつめにもり奥深おくふかくにかけ、果物くだものははザルにとどけさせていましたが、使つかいのサルはもの横取よこどりしてしまい、素知そしらぬかおをしていました。

 ははザルは、すっかりよわて、ほねかわばかりにおとろえてしまいました。

 やがてもりからかえった兄弟きょうだいザルははは様子ようすおどろき、あにザルは仲間なかまからはなれてははやしなうことをめました。おとうとザルも面倒めんどうることをねがい、兄弟きょうだいれをはなれ、ははザルとともにヒマラヤのやまくだりふもとの草原そうげんて、そこにえているニグローダじゅつけてそれをみかとめ、ははやしないながららしはじめました。

 そのころ、一人ひとり若者わかもの高名こうめいのもとで学芸がくげい修行しゅぎょうはげんでおり、あらゆる学芸がくげいにつけてまれ故郷こきょうかえたのでした。

 かれ残忍ざんにん性格せいかく見抜みぬき、「おまえ何事なにごとにもつつしぶかくしなければならないぞ。自分じぶん欠点けってんなおすよう心掛こころがけぬかぎり、おおきなわざわいやくるしみをまねくことになる」といましめて故郷こきょうかえしたのでした。

 青年せいねん故郷こきょうかえり、結婚けっこんしてやがて子供こどもまれましたが、これといったしょくくことができず、そのらしにもくようになってしまいました。おとこ家族かぞくとも山深やまぶか片田舎かたいなかはいって猟師りょうしとしての生活せいかつはじめました。

 あるのこと、おとこ草地くさちそび一本いっぽんおおきなニグローダじゅけました。そのなかでは、サルの兄弟きょうだい母親ははおやをいたわりながら果物くだものべさせていたのでした。

 そこでははザルをつけるとをつがえました。これをあにザルがおとうとザルに「わたしかあさんの身代みがわりになろう。わたしんだあとは、おまえかあさんをしっかりとやしなっておくれ。」とうやいなえだしげみから姿すがたあらわし、おとこに「わたし身代みがわりになるからはは見逃みのがしてくれ。」といました。

 おとこは、まだわか毛並けなみもつややかなサルをるとたいそう満足まんぞくしてすぐに承知しょうちし、すぐさまをつがえ、じっとすわってうごかないあにザルを容赦ようしゃもなく射殺いころしてしまいました。

 そればかりか、いま約束やくそくなどわすれたかのようにふたたははザルにかってをつがえると、おとうとザルは「ってくれ。わたし身代みがわりになる。わたしたち兄弟きょうだいいのちえに、おかあさんだけはかならたすけてくれ。」とたのみました。その言葉ことばおわらないうちに、おことおとうとザルも射殺いころしました。

 そして、のこったははザルをしげしげとながめ、「こいつだって毛皮けがわれば、子供こどものおもちゃぐらいにはなるだろう」とつぶやき、ははザルをも射殺いころしました。

 この瞬間しゅんかん稲妻いなずまひか雷鳴らいめいとどろきました。

 おとこいそいでサルをかつぎ、一目散いちもくさんけだしました。

 おとこむらぐちまでかえってくると、ちかくに一人ひとりおとこはしってきて「大変たいへんだ。あんたのいえ丸焼まるやけだ。おくさんも子供こどもたちもんでしまったよ。」とげました。

 おとこが「むくいだぁ。ああ、殺生せっしょうむくいだぁ」とくるったようにわめきながらまだくすぶっているあとはしんだ途端とたん突然とつぜん地面じめんけ、そこからあかほのおしました。

 そのにのまれかけたときおことむかしからけた忠告ちゅうこくおもいだし、自分じぶんおろかさをじてうたをとなえたのでした。

ああこれこそが おし
まえこころは あらいから
あくのつく ことするな
おおきないに くなとった
はないたら むす
ひと行為こういも おなじこと
おこないに むく
悪行あくぎょうすれば 悪果あくかめぐ
たねまきのなる 道理どうりおな
真理しんりはひとつ いつの

(ジャータカ二二二)



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