卒業生は今!!

卒業生は今!!

日付:2014年7月10日 関連記事:仏教文化169号

22期 湯浅

 

 私が彫刻を始めたきっかけは、今から二十数年前、何か引き込まれるような感じで、仏師瑞雲氏に師事し、彫ってみたい、ただそれだけの気持ちで仏像彫刻の道に入り、何体か仏像を彫り進むにつれて、さまざまな知識や技を体得しながら、彫刻の世界にのめり込んでいきました。

 仏像を造ることは、木の中にある仏を取り出すことであり、木屑を取り除けば、本来木の中にある仏を取り出すことが出来、あきらめずに彫り続けていけば、仏像になると教えられました。昔から仏像を彫るときには、「一刀三礼」すると言われています。一回ノミで"コン"と彫るたびに、三回札拝するという意味です。現実には、それだと仕事になりませんので、その位真剣に祈りを込めて彫るということだと思います。木材は、檜、楠、桂、松などを主体に使いますが、生木の状態では刃が立たず、後々割れたりひびが入ります。ですから三~十年位は、静かに寝かしておきます。そうしますと木目や木肌が良くなって、扱いやすい素敵な木材になります。

 造る像が決まったら、木材に下図を書き、木取りをします。正面・側面・上下から見た輸郭を決め、神聖な気持ちで、ノコギリそしてノミを入れていきます。次に荒彫りに入り、各部位を直線的に彫りわけ、角を落として、大まかにノミと木槌を使い、気合を入れて木に向き合います、次に小造りに入り、色々な形の彫刻刀を使い、顔の造形、体の線、衣の流れなど、細部を決めながら整えていきます。この時は、先人の作品を参考にしつつ、自分の中のもう一人の自分と、対話・相談しながら、客観的な判断も取り入れて進めていきます。作品の出来を左右する大事な作業であり、楽しく充実した空間が生まれます。

169-14.jpg「文殊菩薩」像

 最後に仕上げです。この段階では、彫刻刀を最も切れる状態に研ぎあげて、仕上げた部分に汚れやキズがつかないように、薄手の手袋を使用し、薄皮を剥ぐように丁寧に削ります。最後は、こころが限界かなと感じたら、ここまでにしようかと自問して、作品に向かって"ありがとう、ご苦労様"という感じで刀を置きます。

 五十代の頃、母がそして三年後父が亡くなり、お寺さんと仏縁ができ、仏教に関心を持つようになり、後に東京国際仏教塾で、仏教の基本を学び、曹洞宗に進み、中野東禅老師の元で、在家得度を受けました。坐禅会に参加するようになり、日常生活や彫刻に向かう心構えが、だんだんと柔らかくなってきたと感じられます。この文章を書いていて、お釈迦様が始められた仏教が脈々と続いて、仏像が造られ、先人の智慧、伝統技法が今に引き継がれて学べることに、改めて多くの方との縁や交わりがあって、仏像彫刻が出来る環境に感謝しています。現在は縁あって、東京都内で二ヶ所、地元のお寺で仏像彫刻教室を担当しています。折を見てお訪ねいただければ幸いです。

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