仏教童話

仏教童話『ネズミがくれた財産』

日付:2016年3月10日

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  むかし、バーラーナシーのみやこにチュッラカセッティというおことがおり、おうつかえていたかれかしこいだけでなくさき見通みとおせるちからがあることでられていました。

 チュッラカセッティがおうのおともをして、とあるまちあるいていたとき道端みちばた一匹いっぴきのネズミがんでいるのをつけました。「あたまおとこがこれをひろっていけば、おおきな幸福こうふくがつかめるはずだが...」とつぶやいてとおぎていきました。
 
 そのとき、ちょうどすれちがった一人ひとりおとこがそれをみみにして、このネズミの死体したいひろげました。名高なだかかれうことだから、きっとなにわけがあるにちがいないとおもったのでした。 しかしんだネズミをってくれるものなどいるはずなく、はらかしたネコが一匹いっぴきあとをついてくるだけでした。おとこがネコのくびにひもで一枚いちまい銅貨どうかむすびつけられているのにづき、それをはずすと、ネコはネズミにびつきました。

 おとこはこの銅貨どうか糖蜜とうみつい、道端みちばたころがっていた水瓶みずがめみずをくんでまたあるきだしました。するとこうから髪結かみゆ職人しょくにんはな髪飾かみかざりをかかえやってきました。おとこ職人しょくにんたちに糖蜜とうみつみずをやると、職人しょくにんたちはおれいはなけてくれました。そこでそのはなあるいていくと、はな銅貨どうか五枚ごまいれたのでした。

 つぎおとこ前日ぜんじつ銅貨どうか糖蜜とうみつい、水瓶みずがめならべて道端みちばたはじめました。みずって人々ひとびと一休ひとやすみしながらうわさばなしなどをしてきました。

 ある宮殿きゅうでん下働したばたらきのおとこみずみながら「ゆうべのつよかぜ枯葉かれは沢山たくさんちててるところがない」となげき、しばらくして糖蜜とうみつをなめにやってきた陶工とうこう弟子でしが「いいまきつからないのでこまったよ。」と愚痴ぐちをこぼしました。これをいていたおことは、早速さっそく宮殿きゅうでん庭師にわしのところへき、えだかたづけるともう、それを陶工とうこう師匠ししょうところっていきました。おとこ陶工とうこうからおれいびんさらなどをもらいけ、それを長者ちょうじゃのもとへっていきました。すると、長者ちょうじゃ最上さいじょううつわだとってかがやかせ、いつもゆびにはめている高価こうか指輪ゆびわわたしたのでした。

 おとこはその道端みちばた糖蜜とうみつみずつづけました。あるとき一人ひとり旅人たびびとって「途中とちゅう五百頭ごひゃくとうものうまれてくるおとこ出会であったよ。うまのえさだけでも大変たいへんなものさ。」とおとこいました。おとこ旅人たびびとかえるといそいでみせをたたみ、よくみずみにていた草刈くさか人夫にんぷところってってあるくさすべりました。翌日よくじつには五百頭ごひゃくとううまれたおとこまちにやってきました。うまのえさをもとめてもはいらずこまっているところに糖蜜とうみつりのおとこあらわれまぐさをることをもうると、大金たいきんはらってりました。

 数ヶ月すうかげつぎ、今度こんどみなと出入でいりしている商人しょうにん糖蜜とうみつをなめながらおとこに「おおきなふね明日あすみなとはいってくるんだ。外国がいこくからの積荷つみにはもうけがおおきいぞ。」とはなしました。そこでおとこ服装ふくそう立派りっぱととのえて、ふねはいるのをみなとちかまえ、ふねくとだれよりもさきんで船主ふなぬし交渉こうしょうはじめました。船主ふなぬしかれ立派りっぱ様子ようすゆびひかかがやいている高価こうか指輪ゆびわてすっかり信用しんようし、ふねはすべておとこわたすことを約束やくそくしたのでした。おとこ契約けいやくしるしとして指輪ゆびわ船主ふなぬしわたし、あらかじめみなとちかくにっておいた立派りっぱなテントへげていきました。

 そこへようやくまち大商人だいしょうにんたちがやってきて積荷つみに相談そうだんちかけたのでした。「荷物にもつさきすべまったよ」という船主ふなぬしこたえに、商人しょうにんたちはおどろいてだれ契約けいやくしたのかただしました。船主ふなぬしおとこのいるテントをゆびさしました。商人しょうにんたちはおとこおうとテントにり、なんとしても積荷つみに権利けんりようとせりでもするかのようにどんどん値段ねだんをつりげ、何人なんにんかの商人しょうにん非常ひじょう高額こうがく積荷つみにゆずることではなしがまとまりました。

 糖蜜とうみつりのおとこはとうとう大金持おおがねもちになり、チュッラカセッティのところにれいいにかけ、これまでのいきさつをすべかたりました。チュッラカセッティはおことをほめ、自分じぶんむすめかれつまとし、おこと家庭かてい幸福こうふくまでもれることができたのでした。(ジャータカ四より)

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