仏教童話

仏教童話『毒入りの密』

日付:2016年5月10日

 むかし、バーラーナシーのみやこ大勢おおぜい隊商しょうたいひきいて諸国しょこくまわっている一人ひとりかしこ隊商主しょうたいしゅがおりました。
180-16.jpgのサムネール画像 
 この時代じだい商人しょうにんたちはたいんでとおくに品物しなものけにかけていました。たびみちのりはながく、病気びょうき心配しんぱいぞくおそわれる危険きけんがつきまとっていたので、隊商主しょうたいしゅにはすべての危険きけんこころくばり、賢明けんめいたいものたちをひきいていくちから必要ひつようとされました。
 とおくに目指めざしてすすむうちに、隊商しょうたいはあるおおきなもりぐちにさしかかりました。ひるでもくら不気味ぶきみなこのもりには、グンビヤという悪知恵わるぢえにたけた夜叉やしゃんでおりました。この夜叉やしゃ人間にんげんにくなによりの好物こうぶつでした。
 隊商主たいしょうしゅもりぐちまり、部下ぶかものたちに注意ちゅういあたえました。
 「このもりにはどくのある果実かじつがいっぱいある。見慣みなれないものにはさないように。どうしてもべたいときは、かならわたしせて安全あんぜんなものかたずねてからべなさい。もりにすむ夜叉やしゃ毒入どくいりのもの道端みちばたいておくこともあるから、くれぐれも注意ちゅういするように。」
 さて、グンビヤのほうはしたなめずりをして隊商しょうたい一行いっこうがやってくるのをっていました。グンビヤはさっそくもりなかきつめました。そして猛毒もうどく仕込しこんだみつをそのうえきました。これは、こころあるひとたちが旅人たびびとほどこものをするときのしきたりとそっくりおな方法ほうほうでした。
 獲物えものがこのみつわなにかかるまでのあいだ、グンビヤは農夫のうふ姿すがたえて、まきひろあつめながらあるいていました。
 もりはいってきていた隊商しょうたい何人なんにんかがこのみつつけ、すぐさまりました。
 「ありがたい。これはほどこしとしていてくれたものだろう」
 かれらのうちの一人ひとりはそうって、うたがうこともせず夢中むちゅうみつべ、どくにやられてあっというんでしまいました。それを見届みとどけるや、グンビヤとその一味いちみがたちまち死体したいむさぼりつきました。
 みつったまま隊商主たいしょうしゅっていた二、三人にさんにんものたちは命拾いのちびろいをしました。
 なかには我慢がまんできず半分はんぶんばかりべてしまい、もがきくるしんでいるものもいましたが、隊商主たいしょうしゅはすぐにくすりませたので、かれらはなんとか命拾いのちびろいをしたのでした。
 隊商たいしょういそいでもりけだし、やがてのぞみどおりの品物しなものけてくにかえりました。このとき隊商主たいしょうしゅ部下ぶかたちにかってうたをとなえ、おしさとしたのでした。
 
 どくにはあまい 蜂蜜はちみつ
 いろかおりと あじがある
 えさもとめる グンビヤが
 もり仕掛しかける あまわな
 
 あま色香いろかにだまされて
 これをべれば いた
 よくかんがえて このどく
 けたもののみ 無事ぶじ
 
 それとおなじく 人間にんげん
 諸欲しょよくどくの ようなもの
 よくしばられ したがえば
 こころはたちまち いた
 ひとなやます 煩悩ぼんのう
 もとなるよくを 見極みきわめて
 これをければ 執着しゅうちゃく
 って らく
   
(ジャータカ三六六引用)

カテゴリー:

  • 平成29年度(第30期)塾生
    「塾生募集のお知らせ」へ
  • 卒業後、それぞれのあゆみ
  • カリキュラムのご紹介
  • 機関誌「仏教文化」
  • 東京国際仏教塾20年の歩み
  • 塾生統計等
  • プレスリリース

東京国際仏教塾

新宿事務所 〒151-0053
東京都渋谷区代々木2-4-3
町屋事務所 〒116-0001
東京都荒川区町屋1-2-1-3F

TEL:03-3809-5930 FAX:03-3809-5935

ウェブからのお問い合わせ

このページの先頭へ