卒業生は今!!

卒業生は今!! 仏像修復作業日誌

日付:2016年9月10日

第二十七期 菊池 隆昭

 二十歳代~三十歳代は時代の最先端の仕事を夢中で乗り切り、四十歳代~五十歳代は花の業界で、そして六十歳代から現在までは、趣味の絵画・仏画・版画・漆器に没頭していた。ご縁を頂き、昨年春仏教塾専門コースを修了して早一年が経過した。

 研修中には、思いも寄らない大病に罹ったが、ご住職より「一年間ここで修行をしたらどうですか」と言われ、そのお言葉に甘え、毎月一回二泊三日の日蓮宗妙厳寺南無道場通いが始まりました。

 そんな折、本堂の隅に鎮座している仏像の塗りが剥げ、破損し黒く汚れていて可哀相なので修理できないだろうか、との相談を投げ掛けられた。手にとって見ると、たしかに酷い状態である。もともと美術品の修復に興味をもっていたため、引き受けはしたものの、時代ある仏像の修復は初めてである。ご住職、先輩僧侶から「修理を頼む!」と言われたときは、急に重い荷物を背負い、不安が一杯であった。

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見事蘇った釈迦如来・多宝如来座像

 仏像は、釈迦如来、多宝如来共に蓮華座の上に結跏趺坐吉祥座、聖実心合掌印。蓮華座の下に上敷茄子。如来の間に荷葉座、上敷茄子、蓮華座その上に宝珠・屋根をつけた御題目。この三体には、それぞれ光背(身光・頭光一体型舟形光)が蓮華座と組み合わせるようになっている。さらにこれらの下にさらなる台座として華盤・受座・下敷茄子が組まれた台座となっている。

 一木割剥寄木造り、檜木、漆・金箔塗り。玉眼、肉髻珠・白毫は水晶使用。光背は雲唐草、台座は三段造りポケット有。制作年代は、顔立ち、容姿、台座の模様、塗り等々から江戸初期頃の造りと思われる。過去二回~三回程度の修復作業の形跡もある。近年では、昭和五年八月に宗祖日蓮大士六百五十年遠忌御報恩ノ為メ修復ス、とあり、世話人や仏師の名が、台座や像のウラに書かれているが、残念ながらもともとの仏像製作者の名前が無い。

 破損や紛失部分の補修、塗りの剥がれ・変色、重塗りによる変形部分の削り落とし等々、約五ヶ月間を要した修復作業を終えることができた。修復の内容、作業経由を記載した書状、また修復中に出た漆片や釘等も和紙に丁寧に包み仏像蓮華座のポケットに納め、住職に魂入れをしていただいた。無事元の妙厳寺に納めることができホッとしたのも束の間、次のオーダーが・・・・。うれしい悲鳴がまだまだ続きそうである。

 思いもよらず念願であった仏像修復ができ、ご住職・先輩僧侶に深謝。さらに仏師として「法隆」という名前まで頂戴し、ますます精進しなければ、と覚悟新たの日々である。

 余談ではあるが、二回の手術をした大病であったが、仏像修復後の定期検診で、主治医が顔を見るなり「精神的に安定していますね!」との言葉。身は健康第一の運動、口は食事療法、志は心の余裕とか。自分の好きなことを自由にやらせていただき、充実した日々を過ごすことに、ただ感謝あるのみである。

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