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「臨床宗教師」考 -養成講座を受講して-

日付:2016年11月10日

編集人 峯島

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真言宗僧侶も天理教のお勤めに参加

 最近メディアにも取り上げられ、注目を浴び始めた臨床宗教師。臨床宗教師とは病院、福祉施設、被災地などの公共空間において心のケアを実践する宗教者のことで、塾卒業生の中には東北大学で開講される研修に参加される方、その他の機関にて育成に関わっていらっしゃる方もいる。

 近年、各宗門大学でも臨床宗教師養成講座が開講され始めている。私自身、終末期医療には不案内ながらも日本仏教の未来のあり方を感じ、種智院大学臨床密教センター(松本峰哲センター長)主催の養成講座を受講した。

 スタイルは東北大学と同じく、三回の全体会と二回の現場実習(医療機関や訪問介護など)から構成されている。

 全体会の教場は天理市にある天理教浪華分教会で教会長夫人・上田女史は東北大学研修の修了者。

 全体会では、医療関係者による緩和ケアの実際、宗教者の行う様々なケアのあり方を学ぶ一方で、宗祖の教えに立ち返り、真言宗徒がどのような視点に立って活動を行うべきかにつき講義が行われるなど宗門大学ならではの特色もある。他宗教者との協力が求められることもあるため、宗教間対話に配慮した授業も行われ、天理教の本殿に参拝したり、「ひのきしん」と呼ばれる労働奉仕にも参加したりした。

 またグループワークでは患者との対応を想定したロールプレイを行ったり、病院実習での会話記録を再現したりしてケアのあり方を検討する。二回目以降は実習の振り返りを行い、各自の課題を見つけることも行われた。

 病院実習として、私の場合は新潟県内病院の緩和ケア病棟で研修を行うことになった。朝夕開かれるお勤めの導師をつとめたり、お茶会などで患者とお話をしたりする。時には患者の買い物の付き添いを行ったりもする。

 自分からどうこうと働きかけるのでなく、基本は患者に対する傾聴である。訪問介護であったり、医師から紹介のあるところでは患者も訪問者が僧侶であり、宗教的な相談相手を行う人と認識されていたようだが、自分の場合、話も宗教とは無関係の話がほとんどで、相手の反応が薄い場合には沈黙に耐えられない性からいたたまれなくなったりもした。常勤のビハーラ僧からは自分の認識の甘さを注意されることもしばしばであった。それでも時には患者と心が通う場面もあり、看護師長の言葉に励まされたりもした。

 修了後に看護師をされている塾卒業生や介護に携わる塾生の方に話を伺うと、業務に追われて患者の精神的なケアまで行き届かない現実もあるようで、心のケアを行う宗教者が求められている空気は感じる。資格化の途上であり有給の仕事はまだ少なく、ボランティアベースとなるのが実情であるが、宗教者も市場原理に取り込まれている現状で、ボランティア活動の進展は宗教者の存在意義を示すことにつながるであろう。

 ただ、臨床宗教師の活動が浸透していくには、彼らの活動もさることながら僧侶に対する一般人の認識を変えていく必要があろう。

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グループワーク(会話記録の検討)の光景

 とある患者に「東京から参りました、峯島です。」と挨拶したら、「東京からお迎えかい?」と返され、病棟には礼拝室があるが、「お寺は嫌だよ」と言って入りたがらない方もいた。普段の法務でも質問は仏事のしきたりを問うものが大半で、お寺=葬式、僧侶=死の使者または儀礼の執行者といった固定観念が僧侶を相談相手とみなすことへの壁を作っているのではないかと思う。

 この研修ではグループワークなどで自分では気付かなかった癖を知ったり、普段のコミュニケーションのあり方について考えさせられたりするなど、自分自身を振り返る機会となった。私にとっては四度加行以来の「修行」となった研修であるが、どっしりとした胆力もなく、まだまだ修行が足りないなという感慨を抱いている。

 医療、介護の心得のある方、慈悲にあふれた方などのチャレンジを期待して筆をおく。

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