仏教童話

仏教童話『イノシシと宝石』

日付:2017年1月10日

 むかし、ヒマラヤの山中さんちゅう一人ひとり苦行者くぎょうしゃ修行しゅぎょうをしていました。

184-20.jpg その苦行者くぎょうしゃんでいるすぐちかくに、うつくしい宝石ほうせきでできた洞穴どうくつがありました。

 その洞穴どうくつには、三十頭さんじゅっとうものイノシシがんでいました。

 ところが、洞穴どうくつまわりにはおそろしいライオンがいつもうろうろしていました。

 ライオンのうろつく姿すがた宝石ほうせきうつるので、イノシシたちは、そのかげるたびにブルブルとふるえあがるのでした。

 イノシシたちはかんがえました。

宝石ほうせきとおっているためにライオンの姿すがたが、はっきりうつるのだ。

 ライオンのかげると、おれたちはこわくて、どうしてもブルブルとふるえあがってしまう。

 それもこれも宝石ほうせきのせいだ。いっそのこと、この宝石ほうせきをどろどろによごしてしまえば、ライオンのかげうつらないだろう。

 みんなの意見いけん一致いっちして、イノシシたちはってちかくのみずうみのほとりまでかけ、泥水どろみずはこんできました。

 そしてその泥水どろみず宝石ほうせきにグイグイとこすりました。

 しかし、どろはこすっているうちにすぐになくなってしまい、どろでこするよりもイノシシのむくじゃらのでこすることがおおくなり、宝石ほうせきぎゃくまえよりもとおって、きれいにひかってくるのでした。

 イノシシたちは、どうしていいのかわからなくなりました。

 「なにか、いい方法ほうほうはないものだろうか」

 みんなであたまをひねっていたところ、一頭いっとうのイノシシがおもいついたようにいました。

 「ほら、あの苦行者くぎょうしゃいてみたらどうだろう」

 イノシシたちは、全員ぜんいんで、早速さっそく洞穴どうくつからあまりはなれていないところにんでいる苦行者くぎょうしゃところかけていきました。

 大勢おおぜいのイノシシがやってきたので、苦行者くぎょうしゃすこおどろきながらもかれらをむかえました。イノシシたちはくちをそろえていました。

 「おしえていただきたいことがあるのです。」

 

「ふむ、なんだね」

 苦行者くぎょうしゃはイノシシたちをながめわたしました。

 イノシシたちはうやうやしくお辞儀じぎをすると、つぎのうたをとなえました。

 われらイノシシ 三十頭さんじゅっとう
 このあなみ 早七年はやしちねん
 ところがこわい ライオンの
 かげうつした 宝石ほうせき
 ひかり邪魔じゃまで けず
 にくひかりを そうとしたが
 どろでこすれば こするほど
 宝石ほうせきひかりを すばかり
 おしえてください 苦行者くぎょうしゃ
 あのいしよごす 方法ほうほう

 イノシシたちの必死ひっしのうたをいた苦行者くぎょうしゃは、かれらを見据みすえてうたでこたえました。

 とうとひかる 宝石ほうせき
 よごれがなくて きよらかで
 ひかりすなど できはしない
 とうとひかりに 逆恨さかう
 あたまやせ イノシシよ
 洞穴どうくつて りなさい

 このうたをみみにしたイノシシたちは、それ以上いじょう苦行者くぎょうしゃなにえず、そのをすごすごとっていきました。


(ジャータカ二八五引用)

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