仏教童話

仏教童話『酔っぱらった軽業師』

日付:2018年4月10日

190-20-1.jpg あるまち軽業師かるわざし親子おやこんでいました。息子むすこちいさいときからげいひいでており、成人せいじんたっしたときには父親ちちおやをしのぐほどになっておりました。

 かれはもっと色々いろいろげいけたいとねがって、ある軽業師かるわざし弟子でしりすることにしました。その軽業師かるわざしは、するどくとがったやり穂先ほさきげいものにしていました。息子むすこはこの軽業師かるわざしからげいまなび、ともに各地かくち巡業じゅんぎょうしてあるいていました。

 軽業師かるわざし一行いっこうがあるむら興行こうぎょうしていたときのことです。人垣ひとがき軽業師かるわざしたちをおおきくき、げいひとひとつにさかんな拍手はくしゅおくっておりました。

 ひと背丈せたけほどもあるやり一本いっぽんすのでさえ大変たいへんなこと。ひとつ間違まちがえば串刺くしざしになってしまいます。それを一本いっぽん二本にほん三本さんぼん 四本よんほんえるのです。しかも最後さいごには四本よんほんならべたやり穂先ほさき一気いっきえてせるというのですから、人々ひとびとかがやき、おおきな拍手はくしゅがわきこるのも当然とうぜんのことです。

 軽業師かるわざし見事みごとげい披露ひろうすると、歓声かんせいとともに金銭きんせんあめのようにれられました。酒瓶さかびんかかえてはしものわれわすれてけた宝石ほうせきほどこそうとするもの、それはそれは大変たいへん人気にんきでありました

 さけにしたたかった軽業師かるわざしは、得意とくい満面まんめん人々ひとびといました。

みなさん、こんなによろこんでくれて本当ほんとうにありがとう。そのおれい一世いっせい一代いちだいげいをおせすることにしよう。いまから五本ごほんやりんでおにかける。」

 すると、人々ひとびとからはまえにもしてさかんな拍手はくしゅがりました。

 しかし、その言葉ことばだれよりもおどろいたのは軽業師かるわざし弟子でしでした。いそいで師匠ししょうところっていました。

師匠ししょう、おやめください。師匠ししょうはまだ一度いちど五本ごほんやりばれたことはありません。そんなことをなさればきっと五本目ごほんめやりいのちうばわれてしまいます。」

 しかし、軽業師かるわざしさけのためにすっかり正気しょうきうしなっていました。

「いや、めるな。おまえはわしの本当ほんとう腕前うでまえらんのだ。」

 そうって無理むり準備じゅんびすすめさせました。

「どうかやめてください。師匠ししょういのちとされるのをだまっててはおれません。」

「うるさい。おまえなんかになにがわかる。」

 弟子でしがやめさせようとするのを、軽業師かるわざし強引ごういんはなしました。

 弟子でし心配しんぱいはそのすぐ事実じじつとなりました。軽業師かるわざし五本目ごほんめやり串刺くしざしとなり、するど悲鳴ひめいげてそのままうごかなくなりました。

 弟子でし師匠ししょうのもとにはしり、はらはらとなみだながしていました。

「あんなにおめしましたのに、どうしてわたし言葉ことばれてくださらなかったのですか。」

 そして師匠ししょうからだからやりり、亡骸なきがら荼毘だびしてとむらうのでありました。

(ジャータカ一一六より)

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