仏教童話

仏教童話『犬の教訓』

日付:2017年12月10日

188-16-1.jpg むかし、ある墓地ぼちに、数百すうひゃく野犬やけんれがんでいました。れをひきいているのは、一匹いっぴき白犬しろいぬでした。野犬やけん神々こうごうしいほどのうつくしい毛並けなみで、威厳いげんあふれていました。

 あるとき国王こくおううまかわ手綱たづなが、よるあいだべられてしまうという事件じけんきました。周囲しゅうい足跡あしあと調しらべてみると、それはいぬのものでした。そこで、家来けらいたちはおう報告ほうこくしました。

犯人はんにんはどうやら野犬やけんのようでございます。下水口げすいこうつたって城内じょうないはいったのにちがいありません」

 国王こくおうおこって命令めいれいしました。

「わしの愛馬あいば手綱たづなべるとは不届ふとどきなやつらだ。つけ次第しだいいぬといういぬをすべてころしてしまえ」

 まちではいぬ大虐殺だいぎゃくさつはじまりました。兵士へいしたちが、しろ内外ないがい巡回じゅんかいして手当てあたり次第しだいいぬころしました。

 められた野犬やけんたちは、墓地ぼち白犬しろいぬのところへげ、たすけをもとめました。野犬やけんたちがこと次第しだい説明せつめいすると、白犬しろいぬは「手綱たづなべたのがだれなのかっているものはいないのか」とたずねました。

調しらべてみても、べたものはだれ一人ひとりいません。厳重げんじゅうさくちこまれた下水口げすいこうから城内じょうないるなど到底とうていできるものではありません。そうなると、王宮おうきゅういぬ以外いがいにはかんがえられないのです。」

 白犬しろいぬは「よし、わかった。おまえたちはもうなにおそれることはない。いまからわたし王宮おうきゅうき、無謀むぼう虐殺ぎゃくさつをやめるよう、おう進言しんげんしてこよう」とうと、『わたしに、けっして危険きけんおよばないように...』と呪文じゅもんとなえ、王宮おうきゅうかけていきました。白犬しろいぬ城門じょうもんをゆうゆうととおけ、王宮おうきゅうりました。不思議ふしぎなことに、誰一人だれひとりとしてとがめるものはいませんでした。

 王宮おうきゅうはいると、白犬しろいぬ玉座ぎょくざしたにするりとはいみました。家来けらいたちはおどろいてつかまえようとしましたが、おうはそれをめていました。

「なかなか威厳いげんのあるうつくしいいぬだ。なにか事情じじょうがあってたのにちがいない」

 白犬しろいぬ玉座ぎょくざしたから一礼いちれいし、国王こくおうはなしかけました。

王様おうさまはどのようなつみ我々われわれころそうとなさっているのですか」

「わしの愛馬あいば手綱たづなべたのだ。だからわしはいぬといういぬころせとめいじたのだ」

「それではいぬといういぬすべ一匹いっぴきのこらずころしてしまうのですか」

すべてのいぬといっても、王宮おうきゅういぬだけはべつだ」

大王だいおうよ、あなたはご自分じぶん愛馬あいば愛犬あいけんがかわいいばかりに、おうとしてのみちをおわすれになっています。一国いっこくあるじたるおう物事ものごと判断はんだんするときには、ったてんびんばかりのように、どちらにもかたむかない公平こうへいさがなければなりません」

って白犬しろいぬはうたをとなえました。

血筋ちすじただしい おういぬ
かれらはばつを けないで
われ野犬やけんは ころされる
血統けっとう毛並けなみ それだけで
かれらはばつを けないで
よわもののみ ころされる
どうしてこれが 公平こうへい
おうさばきと いえようか

 いていたおうは、むっとして「では、おまえ犯人はんにんっているとでもいうのか」といました。

っています。手綱たづなべたのは王宮おうきゅういぬたちです。いまからその証拠しょうこをおせしましょう。ここへ王宮おうきゅういぬれてきてください。それにバターと薬草やくそう少々しょうしょうちいただきたいのですが」と白犬しろいぬうと、王宮おうきゅういぬたちがされてきました。白犬しろいぬ薬草やくそうをバターのなかでつぶし、そのしるいぬたちにませるといぬたちはかわしました。それは、まさしくおう愛馬あいばのものでした。 

それを国王こくおうふかって白犬しろいぬあたまげ、以後いご毎日まいにち白犬しろいぬをはじめとするすべての野犬やけん自分じぶんおな食事しょくじふるい、正義せいぎ白犬しろいぬおしえを一生いっしょうまもつづけました。

(ジャータカ二二より)

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