仏教童話

仏教童話『浮気な王妃』

日付:2018年8月10日

192-20.jpg むかし、セールマというしまにガルダちょう一族いちぞくんでいました。このとりりゅうべるとわれ、魔法まほうちからっていました。

 ガルダちょうおう時々ときどきうつくしい青年せいねん姿すがたけてはヴァーラーナシーのみやこかけ、タンバおう宮殿きゅうでんでサイコロあそびをたのしんでいました。かれうつくしさはたちまち王宮おうきゅうなか有名ゆうめいになり、たくさんいるタンバおうきさきなかでもとくうつくしいスッソンディーがこの青年せいねんるためにあそびの場所ばしょへやってきました。

 青年せいねんきさきはおたがいにその姿すがたときからはげしいこいとりこになってしまいました。

 ガルダおうはその魔力まりょくで、都中みやこじゅう大風おおかぜきまくらせ、やみなかめました。人々ひとびとなにることができないうちにガルダおうはスッソンディーきかかえ、そらがっていき、二人ふたりはセールマとうあい生活せいかつおくるようになりました。

 そのあともガルダおう何食なにくわぬかおみやこき、王宮おうきゅうあそんでいました。だれきさき行方ゆくえものはおらず、彼女かのじょわすれることができないタンバおうかなしい日々ひびごしておりました。

 そこでおうはサッガという音楽師おんがくしめいじてきさきさがさせることにしました。サッガはいたところたびをしてまわりましたが、彼女かのじょうわさすらくことがありませんでした。

 あるかれふねり、そのときわせた商人しょうにんたちがサッガを音楽師おんがくしとみると、琵琶びわくようせがみました。琵琶びわおとうみうえながすとおもいがけないことがりました。音楽おんがくったさかなたちがさわはじめ、ひれでふねをたたき、そのうち巨大きょだいさかなねてふねうえちてきました。ふねはひとたまりもなくこわれてしまいました。

 サッガがいのちからがらたどりいたのはガルダちょうむセールマとうでした。浜辺はまべ散策さんさくしていたスッソンディーは、サッガをつけてりました。二人ふたりたがいにこのしまたわけをはないました。

「なにも心配しんぱいはいりません。ガルダおういまここにはおりませんよ」

 きさきはサッガを宮殿きゅうでんれてき、食事しょくじあたえ、香水こうすいからだあらい、上等じょうとうのベッドにかせてねぎらいました。こうしているうちに、サッガは王妃おうひあいしてしまいました。元々もともと浮気うわきこころぬしであった彼女かのじょはガルダおうからサッガをかくして、められたあいらしをはじめました。

 幾月いくつきかがぎました。ある、ヴァーラーナシーのみやこからこのしまへ、まきものさがしに商人しょうにんたちがやってきました。うしろめたい気持きもちをかかえながら不倫ふりんあいあまえていたサッガは自分じぶん使命しめい目覚めざめ、きさきとのあい生活せいかつこころのこしながらも商人しょうにんたちのふねってみやこかえっていきました。

 サッガはおうたちのあそんでいる場所ばしょき、琵琶びわきながらうたをうたいました。

   ただよい なみ
   こころわす セールマとう
   王妃おうひとおくに いるけれど
   おうよ 不倫ふりんな わがむね
   はげしくつらく なるばかり

 おうたちとともあそんでいたガルダおうはこれをいてぎくりとし、おもわずサッガにうたたずねました。

   サッガよおまえは いかにして
   うみわたって セールマの
   しまつけて いかにして
   スッソンディーと えたのか

 サッガはきさきめぐったいきさつをうたってかせました。

   たからもとめる 商人しょうにん
   ふねこわされ ながされて
   セールマとうに 漂着ひょうちゃく
   芳香ほうこうただよう 麗人れいじん
   ははのごとくに われ
   しょくと 衣服いふくと 寝台しんだい
   あいわたしを いたわった
   おうわたしは このことを
   かくさず 告白こくはくいたします

 サッガのうたくと、ガルダおうはすっかり後悔こうかいねんられつぶやきました。

 「ああ、わたしはあのはなじまんでいても彼女かのじょまもることができなかったのか。浮気うわき本当ほんとうあいらないおんななんようもありはしない」

 かれきさきをタンバおうのもとにおくかえし、このみやこふたたることはありませんでした。

(ジャータカ三六〇より)

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