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修了レポート 日蓮宗 「日蓮聖人の主遺文たる三大部とその概略」

日付:2018年8月10日

第30期 山田 智子

『立正安国論』
 日蓮聖人は、鎌倉時代、東国に打ち続く天変地異や飢饉疫病により多くの人が病み死に飢えに苦しむ悲惨な状況を目の当たりにして深く心を痛められ、仏法が盛んな国に於いてなぜ災難が続き人々が苦しまなければならないのか、その答えを一切経に求められ、駿河国岩本実相寺に赴いて経蔵に入り一切経を閲読したという。更に外典まで閲読し、災難の原因について深く追及された。その結果、災難の原因が念仏の流行にあること、そして正法である法華経の教えが念仏によって妨げられているので、災難を止めるには念仏の教えを退治して、法華経の教えを掲げなければならないとの結論に達した。

 この邪法を放置すれば三災七難のうち今だ起きてない自界叛逆難と他国侵逼難の二難が必ず起こるであろう。それを防ぐには、まず為政者が速やかに信仰を正し、正法を信ずるべきとの確信に至り、文応元年『立正安国論』を執筆し北条時頼に上呈された。

 本書は、客と主人が問答をかわすという形式で書かれており、先に国家を祈って、後に仏法を立てるとする客が、正法の確立によっていく。そして、「汝早く信仰の寸心を改めて速やかに実乗の一善に帰せよ。」と、念仏により現世を厭離した来世の極楽浄土を願うことが末法の宗教の役割ではなく、現世での救済が重要であり、この現実の穢土を仏国土化していこうと発菩提心することの大切さを訴えられている。

『開目抄』
 『立正安国論』の上呈は、かえって幕府の反感を買い、以後は絶えず幕府などから迫害を受けることになったが、日蓮聖人の立正への情熱は一層高まり、文永九年に流罪の地、佐渡塚原の三昧堂で『開目抄』を執筆された。前年に起きた文永の法難により聖人とその門下の人々が築きあげてきた教団の絆を潰滅させてしまい、数々の弾圧の前に多くの門下の人々が信仰を退転していった。幕府からの迫害と門下の背信という教団の危機が聖人につきつけられてしまい、弾圧に耐えている弟子壇越の中には法華経を弘める聖人が次から次へと難に値うのはなぜなのか、諸天の守護がないものかという疑問や動揺が生じており、その疑問に答えるため、更には長年培ってきた釈尊の真実の教えを門下の人々に形見として遺すために、聖人の「一期の大事」を記された書が『開目抄』である。

 本書の主旨は、法華経こそが末法の正法であり、聖人こそが法華経の行者、末法の導師であることを明らかにすることであり、そこから「人開顕の書」であると位置づけられている。まず末法の衆生が信ずべき正法が、法華経本門の肝心、一念三千の法門であり、法華経を緒経の中で最勝とする教えは、久遠実成と二乗作仏の二つの法門である。如来寿量品の釈尊は久遠実成・十界具足の仏であり、ここに二乗の成仏の根拠があり成仏が確定される。更に法華経は難信難解の法であり、弘通者が迫害を受けることは仏の言葉の正しさのあかしとなり、法華経の行者のあかしであると述べられ、自身が法難を忍受し教法の正しさを証明し得た法悦と仏の使いとしての自覚を表明されている。

『観心本尊抄』
 日蓮聖人は、文永九年四月、塚原から一谷へと配所を移され厳しい流罪生活の中にあって思案を一層深められ、文永十年四月『観心本尊抄』を執筆された。仏滅後今まで明らかにされなかった観心と本尊の法門を明らかにするもので「法開顕の書」であると位置づけられている。

 本書では法華経による救いの世界を述べるために一念三千の法門について注釈するという形式をとる。天台教学の真髄である一年三千は天台大師が明らかにした法華経究極の法門であり迹門に立脚し摩訶止観に示された観念観法によって一念三千の仏の境地を追求する観心である。

 一方、法華経の本門に立脚して説く日蓮聖人によれば、本門の肝心は釈尊の修行と悟りの一念三千が題目という教えに包み込まれ如来寿量品の文底に秘沈している。末法の今の時代にはそれを信受し「南無妙法蓮華経」と唱えることによって釈尊の永遠の救いの世界に導き入れられる。それが本門の観心であり、自分の修行により追求する一念三千の観心から妙法五字の受持、即ち信心へと大きく転換されている。更に婆婆世界こそが本仏の住する浄土であり、本門の本尊は久遠実成の本仏釈尊である。そして、末法流布の正師は本化上行地涌の菩薩の応現である日蓮聖人であることを明らかにしている。

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