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修了レポート 天台宗 「天台宗の教えとは」

日付:2018年8月10日

第30期 原田 典隆

 日本天台宗は、延暦二十五(八〇六)年伝教大師最澄によって開宗された。

 日本天台宗は本尊を「久遠実成無作の本仏」とし、その教義は、円教・密教・禅法・戒法・念仏等いずれも「法華一乗」の教意をもって融合し、これを実践することにある。「久遠実成無作の本仏」とは、釈尊は久遠の昔から元々(無作)悟りを得て成仏していた(久遠実成)とし、菩提樹の下で悟りを開いた釈尊は仮の姿であるとする。言い換えると、永遠の昔からあった真理を釈尊が悟ったというその理念を本尊とするのである。「法華一乗」とは、誰でもが仏(悟りの境地)になれる、また、どのような道(方法)を行っても究極的には仏になるとする教えである。

 しかしながら、人は各々機根が異なり、自らの縁によって歩む道が異なる。そのために、天台宗では〈円・密・禅・戒・浄〉といった様々な教学と行法が用意され、研鑽・修行されているのである。以下に主な教学の説明をすると、〈円教〉円は満足・完全の意。法華経の教えを云う。

 『法華経』こそが釈尊の真意が説かれている最高の経典・教えであるとするためこのように呼ぶ。天台大師智顗(五三八~五九七)によって開かれた中国天台宗の教学に由来する。天台大師は一乗思想が説かれていることによって『法華経』を最上と考え、これの理論的な説明・証明と実際に体得するための実践方法を確立した。そして理論と実践を一方に偏らずに等しく修行することを「教観二門」という。天台大師は、教理の面から釈尊の説法を分類整理し、『法華経』の教えが最上であることを明らかにしようとした。

 これを「教相判釈」といい、「五時八教」としてまとめられている。「五時」とは釈尊の説法を年代的に分類したもので、「華厳時・鹿苑時・方等時・般若時・法華涅槃時」の五つを云う。

 注意すべきは、歴史的事実によって時系列で分類したのではなく、『法華経』が最上の教えと云う前提によって、法華経の所説から釈尊の教えを演繹的に時代区分したものであるということである。釈尊が弟子の理解度を観察しながら段々と高めていって、最後の法華涅槃時で真意を明かしたイメージである。

 「八教」とは、「化儀の四教」と「化法の四教」からなる。「化儀の四教」は形式面から分類したもので、「頓教・漸教・秘密教・不定教」の四つを云う。弟子の理解力はそれぞれ異なっているため、それに対応して説法の形式を変えられたことによる。「化法の四教」とは、釈尊の説法の内容から分類したもので、「蔵教・通教・別教・円教」の四つを云う。弟子を声聞・縁覚・菩薩の三乗に分け、それぞれに適した説法を行い、最後の円教に至って、三乗の区別はなく、ただ法華経の一乗のみがあると説明する。

 そして、実践面では禅を行じるが、天台大師は禅とは云わず止観と云った。止観には、漸次止観・不定止観・円頓止観の三種止観があり、中でも円頓止観を以て天台止観の本領とする。円頓止観はすべての存在がそのまま理法にかなうことを習得する観法で、空観・仮観・中観の一心三観を基本として、日常の一瞬一瞬に動く心に三千の数であらわされた一切の現象がすべて備わっているという一念三千の世界に展開していく。法華経の真髄である「諸法実相」・「中道実相」を証得せしめるのである。以上が中国天台宗の概略であるが、伝教大師はさらに密教・禅法・戒法を一乗思想によって融合統一し四宗兼学の日本天台宗をひらいた。

〈密教〉 天台宗の密教は、伝教大師が唐の龍興寺において順暁阿闍梨から伝授を受けたことに始まる。その後、円仁、円珍が入唐し教義の充実に努め、五大院安然により完成された。その特徴は、法華一乗思想によって、法華円教と密教が同列であるとする円密一致にあり、久遠実成の仏である釈迦牟尼の教えとその実践としていることに在る。従って、釈迦牟尼(法華)と大日如来(密教)は二仏一体とする。大日経、金剛頂経の他、蘇悉地経を根本経典とする。

〈禅法〉 伝教大師は師の行表から北禅の正統である達磨禅を相承し、入唐して脩燃から牛頭禅を相承した。しかしながら、その後特に発展もなく、伝承も絶えているため、禅法は円教の止観によって行われている。

〈戒法〉 『梵網菩薩戒経』に説く十重四十八軽戒を、法華経の一乗思想を体現した戒として円頓戒・一乗戒と呼ぶ。受戒し、戒律を守ることを誓うと、戒体という、戒律を守り続けさせる原動力が生じるとされているが、この戒体の正体は真如仏性であり、受戒により真如仏性が働き始め、仏陀となる道を歩き始めることが出来るとされている。

〈浄土〉 四祖慈覚大師が唐の五台山から相伝された引声念仏や阿弥陀信仰が基礎となり、その後恵心僧都源信が『往生要集』を著して完成させた。天台宗の浄土教は、先の円頓戒を受けることによって真如仏性が目覚め、以後は受戒者の諸々の善い行い―例えば、自らの正業・六波羅蜜・懺悔滅罪の行など―が菩薩行となり、その功徳を念仏により浄土に回向し、死後はこの自らの功徳と念仏の願力とにより浄土に往生して、阿弥陀仏の教化を受けて悟りを開き、そして再びこの世界に戻ってきて、一切衆生を教化救済することを目的とする。(「戒浄双修」と「還相回向」)

 このように天台宗には多くの法門があるが、いずれも法華一乗思想の理解と実践のためであり、自らの内に在る真如仏性を自覚し、自行化他の菩薩道を実行することにその目的があるのである。

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