仏教童話

仏教童話『森の神々の友情』

日付:2018年10月10日

193-20.jpg むかし、ヴァーラーナシーのみやこでブラフマダッタおうくにおさめていたときことです。王宮おうきゅうにわには様々さまざま木々きぎ草花くさばなしげもりがあり、そのもりのクサそうにはかみ宿やどっていました。また、四方しほうえだひろげたルチャじゅ大木たいぼくがあり、このにも樹神じゅしん一家いっかんでいました。クサそうかみとルチャ樹神じゅしん一家いっかはとてもしたしくしていました。

 あるとき宮殿きゅうでん大黒柱だいこくばしられ、おうは「いますぐ大工だいくび、補強ほきょうさせよ」とめいじ、家来けらいたちはさっそく大工だいくんでさがさせましたが、宮殿きゅうでん大黒柱だいこくばしら使つかえる大木たいぼくはどこをさがしてもつかりませんでした。

 大工だいくたちが途方とほうれて王宮おうきゅうもどってくる途中とちゅう、ふと王宮おうきゅうもりのルチャじゅをとめました。大工だいくたちはすぐさまおうつたえました。

 おうがそれを許可きょかあたえると、大工だいくたちはルチャじゅところき、供物くもつをささげ、うやうやしく合掌がっしょうしてかえっていきました。
 この事情じじょうった樹神じゅしん夫婦ふうふは「明日あすになるとわたしたちの住処すみかはなくなってしまう。どこへったらいいのだろう」と途方とほうにくれました。樹神じゅしんかなしみはやがて森中もりじゅうくさ神々かみがみつたわり、神々かみがみあつまって相談そうだんしましたが、なかなかいいかんがえがかびませんでした。

 おくれてやってきたクサそうかみまえすすいました。
 「うつくしいルチャじゅられるなんてゆるしてはおけません。わたしかなら大工だいくたちをおもいとどまらせてごらんにいれましょう。」 

 翌朝よくちょう、クサそうかみはカメレオンに変身へんしんしてルチャじゅのもとにやってきました。そしてからなかはいんでいかにもルチャじゅみき空洞くうどうであるかのようにせかけ、大工だいくたちのるのをっていました。

 やがて大工だいくたちがやってくると、根元ねもと調しらはじめました。大工だいく棟梁とうりょうが「昨日きのうかなかったがこれはたいへんな老木ろうぼくだ。根元ねもとあなだらけだ」とうと、大工だいくたちも根元ねもとあなをのぞきみながら「それじゃ親方おやかたなかはきっと空洞くうどうですよ。これでは使つかものになりません」といました。

 大工だいくたちはルチャじゅをあきらめてっていきました。ルチャじゅ樹神じゅしんはクサそうかみのおかげで住処すみかうしなわずにんだのでした。

 樹神じゅしんは「ありがとう。あなたの知恵ちえ私達わたしたち親子おやこすくわれました」となみだながしてれいいました。もり神々かみがみ次々つぎつぎとやっててルチャじゅ無事ぶじよろこび、ルチャじゅすくったクサそうかみをたたえました。しばらくして神々かみがみ長老ちょうろう一人ひとりがしみじみといました。

 「わしはかみとしての威力いりょく十分じゅうぶんちながらいい知恵ちえがなかったためにちからをふるうことができなかった。クサそうかみちいさくてちからおとっているが、知恵ちえがあるためにルチャ樹神じゅしんすくうことができた。威力いりょくすぐれたものおとったものそれぞれにいところがあるのだ。そうしてはじめてわたしたちはこのもりたのしく平和へいわらすことができるのだ。そのことをクサそうかみおしえられた」

 こうしてもり神々かみがみは、末永すえながたすいながららしたとのことです。  

(ジャータカ121より)

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