仏教童話

仏教童話 『おとりのシャコ』

日付:2019年2月10日

195-22.jpg むかし、ヴァーラーナシーのみやこに、ある若者わかものがおりました。かれはタッカシラーのまちおおくの学問がくもんおさめたあと出家しゅっけして修行しゅぎょうはげみ、ヒマラヤ地方ちほうもりりた生活せいかつおくっておりました。村里やまさと人々ひとびとかれのひたむきな修行しゅぎょう姿すがた尊敬そんけいし、かれためもりなか小屋こやてました。

 そのむらには鳥刺とりさしとばれる、とりとらえる猟師りょうしがいました。かれ一羽いちわのシャコをつかまえて、おとりにするためにげい仕込しこみ、かごなかれてっておりました。

 かれはこのシャコをれてよくもりかけていきました。シャコのごえいてたくさんのシャコたちあつまってくると、猟師りょうしはそのむれれをつかまえました。

 おとりのシャコはつらくおもい、「わたしため仲間なかまたちがたくさんころされてしまう。これからはかないようにしよう。」とめました。猟師りょうしはシャコがこうとしないので、たけむちでシャコのからだをこれでもかとたたくと、シャコはくるしさにえられずきました。猟師りょうしあじをしめてシャコをたたいてはとりつかまえ、らしをてていました。
 おとりのシャコはつくづくおもいました。

だれかこのようなわたしのろわれた生活せいかつすくってはくれないだろうか。

 ある猟師りょうしはいつものように、沢山たくさんのシャコをつかまえて帰路きろ途中とちゅうみずみたくなり、もり小屋こやりました。そこにはあの修行者しゅぎょうしゃがおりました。かれはシャコのかご修行者しゅぎょうしゃかたわらにおいてゴクゴクとみずむと、つかれがでてきたせいか、そのままねむってしまいました。

 シャコは日頃ひごろなやんでいることをこの修行者しゅぎょうしゃいてもらおうとおもい、シャコはかごなかから修行者しゅぎょうしゃかってうたをとなえました。

 おおくのえさに 屋根やねかご
 わたしごす らく日々ひび
 しかしこれらの 安楽あんらく
 仲間なかまころす 手助てだすけの
 代償だいしょうなのです 修行者しゅぎょうしゃ
 わたしなにを なすべきか
 教示きょうじください 修行者しゅぎょうしゃ

 かれいにこたえて、修行者しゅぎょうしゃもうたをとなえました。

 悪事あくじをしようと いうこころ
 おまえたずに その結果けっか
 悪事あくじ加担かたん させられた
 もしもそのこと まことなら
 おまえこころに けがれなし

 これをいて、シャコはつぎのようにうたいました。

 わたしけば とりたちは
 仲間なかまおもい そばに
 とりとらえる 鳥刺とりさしよ
 こうしてつみを かさねます
 わたしこころは まどいます

 修行者しゅぎょうしゃこたえてうたいました。

 おまえこころが けがれずに
 そのつもりなく おかすなら
 むくいをける ことはない
 こころただしく いるもの
 つみけがれる ことはない

 シャコはつらこころすこいやされて、むねいたみがやわらいだようながしました。やがてうたたから目覚めざめた猟師りょうしは、かたわらの修行者しゅぎょうしゃいて、ひとわったようにうやうやしく礼拝れいはいし、鳥籠とりかごってっていきました。
(ジャータカ三一九より)

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