その他

スリランカ滞在記〈前編〉

日付:2019年6月10日

 専門課程天台宗コース講師・久保明光先生が住職を務める長光寺では「長光寺通信」を発行。第十七号から二十九期修了・岸崎晃一郎さんのスリランカ滞在記を転載させていただきます。


197-15-1.jpg 海外ボランティアのため、六月はスリランカへ旅立つ計画を立てました。その滞在記を、近況報告を兼ねてお伝えいたします。

 今回スリランカを希望した理由としては、まずこのプロジェクトの内容が、現地の有機農業の訓練施設での農作業の手伝いであるという事。そしてこのプロジェクトの後半に近隣の瞑想センターへの訪問が予定されていた事がもう一点の理由でした。

 目的地は、高原地帯にあるガラハという村です。ニゴンボのバスターミナルから古都キャンディまで行き、バスを乗り継いで小一時間ほどでした。 滞在する所は、レンガを積んで、モルタルで仕上げた、こちらではごく一般的な建物で、中もタイル張りの室内に必要最小限の家具があるだけのシンプルな造りの、まさに〝訓練施設〟といった風情でした。食事の時だけ徒歩五分の別棟に移動します。ここは色鮮やかな草花や鳥達が集い、夜にはホタルが飛び交い、マンゴー、パパイヤなど様々な果物が実る、南国の自然が広がっていました。

 今回の参加者は、フランス人二名、ベルギー一名、香港二名、それから日本人三名でした。意志伝達は基本的に英語でなされ、言葉の壁にぶちあたる事になってしまいました。簡単な意志を伝える事はできてもその先の細かいニュアンスをなかなか伝えることができません。今回の参加者は特に議論好きが集まったようで、食事やお茶の時間になると、きまって社会問題や政治、自らの信条など様々な話題について話しが始まります。どの話題にもそれなりに関心があったのですが、断片的には理解できても議論できるほど詳細がわからなかったり、また、意見をどう表現したらいいのかがわからない、というもどかしさを常に感じる事になりました。自らの語学力の乏しさを感じるとともに、他国の若い参加者が、深刻なテーマにはっきりと自分の意見をもっている事に驚きを感じました。

 一般的に日本人は英語が得意でないと言われます。私の実感でも、学校の授業で習ったとしても実際に使う機会はほとんど無く、ただ試験のために勉強していたようなものでした。そのため、言いたい事があっても、発音や言葉の言い回しがおかしくて伝わらない、という事がよく起こりました。言葉は実際に情報や意志を通わせてはじめて意味を持ちます。スリランカではお店でもかなり英語が通じる人が多い印象を受けました。実際に英語でやり取りする機会が多いのでしょう。〝伝える必要性〟が自ずと言葉を育むのだと実感しました。例えば私達が仏典に触れるとき、そこには太古の人が、「この素晴らしい考えを伝えたい」という意志があり、それを〝言葉〟に乗せて送り出し、またそれを実際に、「素晴らしい」と感じた人々によって受け継がれてきたという事実に思い至ります。伝えたいことがあり、そしてそれを伝える手段―言葉が扱えるということが、いかに有り難い事かを考えるいい機会でした。

197-15-2.jpg
有機農業訓練センターにて  
 さて、実際の活動についてですが、有機農業の訓練施設と聞いてイメージしていたものとは少し異なっていました。山あいにある施設のため、斜面を利用してシナモンなどのスパイスや、マンゴーやバナナなど、果物の樹を植えたり、段々畑を作り、野菜を育て、牛やヤギを飼って堆肥も作っているのですが、いずれも小規模でした。この組織の目的はこうやって小さな農家が少しずつ有機農業をできるように訓練して、やがては国全体の人が有機農産物を手にできるようにしていく事にあるようです。

 スリランカはちょうど雨季の真只中という事もあり、雨が続き、外に出られない事が多く、室内で苗用ポットを作る単調な作業が主で、たまの晴れ間に、苗を植える予定地の草取り作業で鍬を振るうのが気持ち良かったです。

 一週間というのは早いもので、天候やスケジュールの都合もあって、あっという間にボランティア活動は終わってしまいました。(次号へ続く)

カテゴリー:その他

  • 平成31年度(第32期)塾生
    「塾生募集のお知らせ」へ
  • 卒業後、それぞれのあゆみ
  • カリキュラムのご紹介
  • 機関誌「仏教文化」
  • 東京国際仏教塾20年の歩み
  • 塾生統計等
  • プレスリリース

東京国際仏教塾

新宿事務所 〒151-0053
東京都渋谷区代々木2-4-3
町屋事務所 〒116-0001
東京都荒川区町屋1-2-1-3F

TEL:03-3809-5930 FAX:03-3809-5935

ウェブからのお問い合わせ

このページの先頭へ