仏教童話

仏教童話『神々の島』

日付:2019年10月10日

199-40.jpg むかし、ヴァーラーナシーのみやこからさほどとおくないところに、大工だいくばかりがあつまってらしているちいさなむらがありました。

 かれらはちかくのまち仕事しごとさがしにくのですが、ながらく仕事しごとにありつけずかせぐことの出来できないつづいたのであつまって相談そうだんし、みなむらていくことにしました。そしておおきなふねつくげ、すべての準備じゅんびととのったよる村人むらびとたちはうみていきました。どこへくというあてもなく、船乗ふなのりもいませんが、まえらしよりはましだと出発しゅっぱつしたのでした。

 かぜかれて何日なんにちただよううちに、ふねはある孤島ことうにたどりきました。おとこたちがしまがってみると、しげり、べられそうなもあちこちになっていました。一安心ひとあんしんしてふねもどろうとしたときおとここえこえてきました。

 かれらがこえのするほうあるいていくと、はま木陰こかげはだか同然どうぜんむくじゃらの大男おおおとこそべっていました。かれらはてっきりものだとおもみ、やりにぎりしめてちかづき、おとこからだこすといっせいにおそかりました。

 おとこは、自分じぶん元々もともと船乗ふなのりで、一人ひとりだけたすかってこのしまながいたのだと説明せつめいしました。大工だいくたちもいているうちに冷静れいせいさをもどし、そのおとこものでないことをみとめました。大工だいくたちはおとこにこのしまわけはなしました。

 おとこが「なるほど、おもったことをしたもんだ。しかしこのしまいたなんてあんたたちはうんがいいぞ。ここではもの苦労くろうはないし危険きけん動物どうぶつもいない。ただこのしま神様かみさまたちは人間にんげん大小便だいしょうべんがとにかく大嫌だいきらいでな。ようしたらすぐすなをかけておくことだ。それさえしておけば大丈夫だいじょうぶだがわすれたら大変たいへんなことになる。」とはなすと、大工だいくたちは安心あんしんして、そののうちからいえててらしはじめました。

 大工だいくには二人ふたりかしらがいました。一人ひとりかんがふかく、もう一人ひとり高慢こうまんんだくれでした。んだくれのかしらふねんださけみきってしまい、無性むしょうさけこいしくなり、仲間なかましまれるいも発酵はっこうさせてさけつくりました。さけができるとかしら仲間なかまとも酒盛さかもりをはじめました。おおいにっぱらい、みなあちこちに大小便だいしょうべんをしたまますなをかけることをわすれてねむんでしまったのでした。

 これをしま神々かみがみおおいにおこり、つぎ満月まんげつよるうみみずしま全体ぜんたいながしてしまあらきよめることにしました。

 人間にんげんのことを心配しんぱいしたかみ人間にんげんたちのまえ姿すがたあらわして満月まんげつよるまでにしまからげるよういました。それをいていたべつかみはこれではらしめにならぬとべつなところに姿すがたあらわして、こわがることはなにもないからしまにとどまるよういました。

 大工だいくたちはどちらの言葉ことばしんじていいのかまよってしまいました。思慮しりょふかかしらが「どちらが本当ほんとうかはわからない。しかし満月まんげつよるまでに船造ふねづくりにとりかかろうではないか。ふねさえつくっておけばどちらがただしいにしても危険きけんがない。」とうと、このかしらしたが仲間なかまたちはふねつくたび準備じゅんびはじめました。もう一人ひとりかしらは「まえのおげはただのおどかしだ」とかれらをわらい、仲間なかまたちと毎日まいにちさけんではさわいでらしました。

 満月まんげつ思慮しりょぶかかしらひきいられた家族かぞくふね荷物にもつみひとたびしまはなれました。すると海水かいすいたかがりはじおおきななみしまおそいました。なみすべてをつつみ、しまのこっていたもの誰一人だれひとりたすかりませんでした。

 一方いっぽう船出ふなでした大工だいくたちは、今度こんど船乗ふなのりだったおとこわっていたため無事ぶじうみわたってあるくににたどりくことができ、そこで自分じぶんたちのうでかして幸福こうふくらすことができました。

(ジャータカ四六六より)

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