ありがたいアフロ仏
頭部のグルグル(螺髪)がかぶさるくらい、大きなアフロヘアのユニークな仏像のことをご紹介しましょう。この姿の仏像は、全国で東大寺の末寺、五劫院をふくめ16体とも17体とも、数えるほどしかありません。しかも五劫院は重要文化財で年1回の開扉のみです。カジュアルに拝見できるのは京都の浄土宗大本山・金戒光明寺です。
金戒光明寺の始まりは、1174(承安5)年に法然上人が比叡山を下り、最初に草庵を結ばれたことから。京都の人たちから黒谷さんと慕われ、新撰組発祥の地であり、会津藩の本陣として使われたお寺でもあります。このお寺の山門をくぐったら右手に、江戸時代中期作といわれる石仏のアフロ仏がいらっしゃるのです。
正式名は、五劫思惟阿弥陀仏。
名前の由来は、阿弥陀仏が五劫の間、人間を含む生命のあるものすべてを救いたいと四十八の願いをたて、ひたすら修行なさったということから。劫とは、天女が3年に一度、天より下りてきて、着ている衣の袖で、160キロ平方メートルの石を擦って、その石がなくなる時間のこと。その5倍もの気の遠くなるような時間、願い続けたのですから、髪はのび放題。アフロのようなグルグル髪のお姿になったのもうなずけます。
金戒光明寺の五劫思惟阿弥陀仏は、通称アフロ仏と人気を博し、スタンプをはじめ、お土産の金平糖の袋にもプリントされ、一躍、アイドル仏像へ。インスタ映えする可愛らしいお姿ではありますが、生きとし生けるものすべてを救いたい一心の願い、その結晶が頭部の形状です。そう知ると愛おしさ以上に、感謝の気持ちが湧いてくるのでは?
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