キジル石窟 菩薩説法図

キジル石窟は、中原と西方の間に位置し、西洋と東洋の文化が交錯する要所にある。古代亀茲国は、たびたび隣国からの侵略を受けた小国ではあるが、その文化水準は高く、芸術の分野では多大な功績を遺した。キジル石窟では、仏教と芸術が結びつき、豊かな作品が創作された。本図で描かれるのはキジル石窟でよく見られる、「弥勒菩薩兜率天説法図」である。左手に浄瓶を持って、右手を挙げ、弥勒菩薩が説法している。ラピスラズリの青がとても美しい窟である。
写真は、大洞龍明塾長が2011年にベルリン博物館で撮影。機関誌『佛教文化』の200号(2019年10月発刊)の扉ページを飾ったものだ。折々、バックナンバーの写真と説明などを紹介していきたいと思う。

仏の真身

仏の真身は
虚空に遍くして
光明は十方を照し
説法の音声
また十方無量の
恒河沙に等しく
遍くす

鳩摩羅什訳(大智度論)

キジル石窟 第224窟 主室前入口上部 菩薩説法図