回転の中で上手く生きる
1998(平成10)年、東京国際仏教塾の開講式で行われた鎌田茂雄先生の記念講演を18回に分け、毎日ご紹介しております。本日は第4回です。
「人生は20より30に至る、 方まさに出ずる日の如し。 40より60に至る、 日中の日の如く、 盛徳大業、 此の時候じこうに在り。 70、80は、 即ち衰頽蹉蛇すいたいさだして、 将まさに落ちんとする日の如く、 能よく為なす無きのみ。 少壮者しょうそうしゃは宜しく時に及びて勉強し以て大業を成ずべし。」
若い人たちは、 若い時代に、 一心に勉強して、 大きな志を遂げる準備をしなさい、 といっているのです。
70、80は衰退期だ、 と言っているのですが、 一気に年をとるのではなく、 退潮のごとく、 と言っています。 一進一退を繰り返しながら、 回りながら衰えていく。 このことを、 回旋といいます。
何かするにしても、 一直線には出来ず、 回りながら進んで行くものなのです。
本を読んでいましたら、 『揺らぎ』 という本を目にしました。
揺らぎというものは、 万物の法則であり、 自然科学ではどんなものでも、 皆回転している。
その、 回転の中に上手く、 自分を乗せていかねばならない、 とその本には書かれていました。
全て直線的に行くのではなく、 上がるときも、 落ちて行くときも、 揺らぎながら回って行くのです。
揺らぎといいますと、 人間でいえば、 心も揺らぐ。 身体も揺らぐのです。 心も一様ではありません。 一日の内でも、 やる気が起こるときもあれば、 気が滅入ってしまう時と、 一進一退なのです。
心も身体も、 大なり小なり、 揺らいでいるのです。 そのリズムを覚えて、 上手く乗せていくのです。 -つづく-