焦らず徐々に積み重ねる

1998(平成10)年、東京国際仏教塾の開講式で行われた鎌田茂雄先生の記念講演を18回に分け、ご紹介いたしました。
本日で最終回となります。

いろいろお話し申し上げましたが、 要は標題にありますように、 『志気に老少なし』 と、 第二の人生であっても、 定年後の人生であっても、 気持ちには老人も若い者も無いのです。
ですから、 老人だからといって、 気持ちを持たないのはいけないですし、 志気を高く持たないのはいけないのです。 そのためには佐藤一斎先生が言うように、 気をつけなければならないのです。
あまり焦っては駄目です。 ゆっくりとやる。 何でもゆっくりやるのです。 特に年寄りは駄目です。 一気にやった事は、 一気に崩れるものなのです。 徐々に積み重ねたものは、 なかなか崩れません。
お経を覚えるにしても、 朝から晩まで 「観自かんじー在菩薩ざいぼーさー」 なんてやる必要は無いのです。 自然に体についていく事が大切なのです。 何でも無理はいけないのです。 「南無妙法蓮華経」 と唱えたほうが良いからといって、 100回が500回、 500回が1000回と。
それはやったほうがいいですよ。 やらないよりは。 ただ、 あまり焦ってはいけないのです。 太鼓を叩きすぎて手首を痛めますから、 あまり無理はいけないのです。
手首は大切な場所です。 ここは基本になります。 私はこの関節を壊さぬように、 自分でチェックしています。 ですから一日八時間原稿を書いていても、 何でもありません。
もっと大切なのは、 足です。 膝です。 仏教塾でもいろいろと訓練 (修行) をする時、 正座をしますでしょう。 正座で苦しくなったらやめればいいのです。 無理してぶっ倒れるまでする必要は無いのです。 ですから膝を大切にして下さい。
足腰と言うでしょう。 私に言わせれば、 むしろ腰足なのです。 最後は腰なのです。 腰を絶対に痛めない事と、 壊さないように鍛えるのです。 腰というのは体の要です。 肉体の要と申します。 重要の要です。 ですから腰足なのです。 腰が駄目になると足が駄目になります。 腰と手首には十分気をつけて下さい。
是非皆さんのご希望の道に進まれまして、 東京国際仏教塾に入塾された目的を達成して下さい。
-終わり-

今回は鎌田先生の講演を18回に分け、ご紹介いたしました。「毎日、少しずつ、無理なく」…この考え方は先生の講義の中身に共通するものと考えた次第です。
また機会を見つけ、連載という形で取り上げる予定です。お楽しみに!