導かれて

〝思案空間〟から見る〝水鏡の庭〟

「人間は苦しむようにできていて、その苦のゆえに苦を離脱するとも克服するともいえるのですから、苦を避けるのは人間らしくないということになります。
苦しみ能(あた)うということが人間の特典であるとすれば、十分にこれを味わっていくべきものと思います。
これができぬとなると、人間は自分の特権を棄てるということになります」鈴木大拙著『仏教の大意』(法蔵館)
この文面に惹かれて、金沢にある鈴木大拙館に出向きました。
世界的な仏教哲学者である鈴木大拙。その思想に基づいてつくられた館内には〝水鏡の庭〟があり、時折、水紋が起こります。この水紋は、毎回、同じタイミングだそうです。短いと感じるか、長いと感じるか。それは、人それぞれの気持ち次第。中央に位置する〝思案空間〟で、長考する人も見かけました。
〝水鏡の庭〟の奥にある塀の外側まで歩いていくと、つくばいがあります。これに気づく人は少ないらしく、見逃せないポイントです。形は、建築家が「○△□」を意味するようデザインしたとのこと。建築家はニューヨーク近代美術館や東京国立博物館 法隆寺宝物館、GINZA SIXなどを手がけた谷口吉生氏。モダニズム建築の中に、鈴木大拙の感性がふんだんに注ぎ込まれているようです。

鈴木大拙館
石川県金沢市本多町3-4-20 電話:075-221-8011
開館時間:9時30分〜17時(入館は16時30分まで)
休館日:毎週月曜日(月曜日が祭日・休日の場合は、直後の平日。年末年始(12月29日〜1月3日)
入館料:大人310円。
https://www.kanazawa-museum.jp/daisetz/

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ぽっかりと浮かぶような〝思案空間〟

つくばいもデザイン化されて。