煩悩は生きるエネルギー?
「この曲って、煩悩の塊じゃない!」という友人の言葉に、「いつから仏教を勉強するようになった?」と問いかけました。「なにも」と、そっけない返事。1993年にリリースされた日本のロックバンドTHE BLUE HEARTSの曲『夢』に対しての感想であって、この歌詞の中に「あれも欲しい これも欲しい もっともっと欲しい」の部分を、煩悩と表現しただけだったそうです。
〝煩悩〟は、心身を乱し悩ませ、正しい判断をさまたげる心のはたらき。貪欲、瞋恚(しんに)、愚痴の三毒に代表される煩悩こそ、苦を集める原因、などなど仏教の教科書や辞書には書いてあります。
仏教の定義に基づくと、この歌には煩悩の三毒のひとつ「貪欲」はあります。しかし、歌詞全体はメチャクチャに前向きです。「あれもこれも〜」と歌う曲のトーンで、元気が沸き上がってきます。ドラマの主題歌やCM、野球選手の入場などでも、度々使われる理由もわかります。どこにも暗いイメージが感じられないのですから。
〝煩悩〟が、いつから一般用語になったのか?という疑問はさておき、生きていることに前向き、生きるためのエネルギーが満ちた〝煩悩〟ならば、あっていいのではないかと考えます。
欲という煩悩をうまくコントロール出来れば、という話しですが。
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