沖縄の「エイサーと仏教」②

東京国際仏教塾卒塾生の並木浩一さんによる書き下ろしエッセイを連載でお届けします。今回はその2回目です。

いまも念仏するエイサーがある

エイサーのルーツが念仏踊りであると聞いても、にわかには信じられない人がほとんどではないでしょうか。エイサーが大好きな人や、エイサーを習ったり演じている人でもそうかもしれません。ましてや学校の授業や課外活動でエイサーを練習している小学生は、考えてみたこともない事実でしょう。というのも現在のエイサーからは、念仏の要素を見つけるのが難しいからです。しかし、まったく消え去ってしまったわけでもありません。
伝統的なエイサーは、エイサー曲である沖縄民謡に合わせて踊るものです。地謡と呼ばれる演奏者は、蛇の皮を張った沖縄の三味線である三線を弾きながら唄います。ポピュラーなエイサー曲は数十曲ありますが、演舞集団はそのうち10曲ほどをレパートリーとし、おおよその順序を決めて連続演奏・連続演舞することが普通です。順序に決まりはないのですが、大半の集団が最初の曲と決めているのが「仲順流れ(ちゅんじゅんながれ)」です。歌詞に入る前の囃子がすでに「エイサーエイサーヒヤルガエイサー」で始まる、まさにエイサーの代表曲なのです。そして、この囃子の前には本来、念仏を唱えるものなのです。今では滅多に聞かれることがなくなってしまったのですが、その伝統を守り続けるエイサー集団もあります。  -つづく-

Profile:並木浩一(なみきこういち)
1961年横浜生まれ。桐蔭横浜大学教授。時計ジャーナリスト。ダイヤモンド社「ダイヤモンド・エグゼクティブ」「TVステーション」両誌編集長、編集委員を経て大同大学教授(メディア論・芸術論)、2012年より現職。編集者時代に東京国際仏教塾9期入塾、「仏教を学ぶと、生きるのが怖くなくなる」と実感し、専門課程を経て浄土真宗で得度。「沖縄のエイサーと念仏」についても研究中。

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写真提供/沖縄県名護市観光協会