沖縄の「エイサーと仏教」③

東京国際仏教塾卒塾生の並木浩一さんによる書き下ろしエッセイを連載でお届けします。今回はその3回目です。

エイサーは盆踊りである

エイサーと仏教の関わりあいの証拠には、エイサーが「盆踊り」の性質を持っているということも挙げていいかと思います。いまでこそ年中演じられていますが、エイサーは本来、旧盆の期間中に披露されるものでした。今でも旧盆の3日間、沖縄ではエイサーが欠かせませんし、さまざまなところで観ることができます。
いっぽう沖縄では、本土(沖縄風に言うと「内地」)でいうところの、輪になって踊る「盆踊り」を見かけることはほぼありません。エイサーはそういう意味では、代わるものがない「盆の踊り」にほかならないのです。
盆のエイサーは踊りながら地元の地区を行進します。輪になって踊らない代わりに、方向性をもって直進する、これがエイサーの特徴です。この行程のことを「道じゅねー」と呼びます。子供たちはその後ろをみんなで追いかけていきます。地元の家々では道じゅねーの若者たちを道で出迎え、エイサーを堪能します。道じゅねーはずっと進むだけではなく、広場や公園などではときおり足を止め、その場で数曲の演舞を行うのが通例です。内地の盆踊りと同様、夏のお楽しみであると同時に、亡くなったかたや先祖を供養する行事であるという意味合いが今も残っているのです。  -つづく-

Profile:並木浩一(なみきこういち)
1961年横浜生まれ。桐蔭横浜大学教授。時計ジャーナリスト。ダイヤモンド社「ダイヤモンド・エグゼクティブ」「TVステーション」両誌編集長、編集委員を経て大同大学教授(メディア論・芸術論)、2012年より現職。編集者時代に東京国際仏教塾9期入塾、「仏教を学ぶと、生きるのが怖くなくなる」と実感し、専門課程を経て浄土真宗で得度。「沖縄のエイサーと念仏」についても研究中。
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写真提供/沖縄県名護市観光協会