仏の眼

お正月に見た「グレ-トネイチャー」というテレビ番組の中に、ヨーロッパアルプスの造山運動でできた絶景を紹介したものがありました。

イタリア、スイス、オーストリア、フランスなどの国境にまたがるアルプス山脈は、アイガー、マッターホルン、モンブランなどの名峰を擁する壮大な地形が特徴です。アルプス山脈は、ヨーロッパのあるユーラシア大陸とアフリカ大陸がぶつかって、プレートが乗り上げる形で出来上がったものです。

過去にテチス海という海であったところにサンゴや有孔虫などが積もり、約1kmもの石灰岩の層ができました。その海底が、プレートの移動とそれに伴うマグマの上昇圧力により3、4千メートル級の山々にまで押し上げられ、雨や氷河に浸食されて、急峻な地形ができ上がりました。

アルプスの地層は、プレート衝突の圧力でねじ曲がり、中には古い時代の地層が新しい地層の上に表れている(地層が上下さかさまになっている)ところまであります。

我々が、普段目にしている山は、どっしりとして動かないもの、永遠に続くものの象徴です。動かざること山のごとし、という言葉もあります。しかし、何十万年、何千万年単位という地球スケールの時間に視点を移すだけで、海が山になり、それが削られて急峻な山になり、それが大陸移動により海に沈んだりと、次々と移り変わっていきます。

我々人間の時間感覚では感じられないスケールに目を移すと、この世界のすべてのものは、移ろいゆくものです。山も川も海も、惑星も銀河も、永遠に動き続けて、止まることはありません。これをお釈迦様は、「諸行無常」とおっしゃいました。

仏の眼から見たら、すべてのものが同じように無常である。

人智を超えた自然の雄大さが、それを教えてくれます。

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