科学と宗教について

科学と宗教は、全く異なるもの、相反するものであると考える人は多いと思いますが、両者は実は補い合うべきものです。20世紀最高の科学者と言われるアインシュタインは、「宗教を伴わない科学は欠陥であり、科学を伴わない宗教は盲目である」と述べています。  

確かに、科学の進展により、以前は宗教が説明していた世界の成り立ちやあり方といったものが、科学的知見に基づく説明に取って代わっています。例えば、創造神が世界を作り上げたとされてきたことは、宇宙や地球の誕生などを示す物理学の知見に置き換えられてきています。また、台風や地震、津波などが起こるのは、風神や雷神の力や地底に潜む大きなナマズの力によるのではなく、太陽が地球の大気や海を暖めて対流を起こすことや大陸プレートが移動する際に生じる地面の歪みが原因となって起こることがわかってきています。

しかし、科学が答えを用意できていない根本的な問題は依然として残されています。それは、誰にも訪れる死をどう捉えるか、我々は何者なのか、我々はどこに行くのか、そしてそれはなぜなのか、という人間存在の根本的な問いであり、一人一人異なる人の心の内面の苦しみをいかに安らげていくかという個別の救済に関わるものです。まさに、これらが宗教の答えていくべき領域です。

自然の法則を解明する科学の知見が生活を支える技術に応用され、我々の生活は豊かになっています。一方で、それが人間の際限のない欲望、すなわち仏教が苦しみの根源と捉えている煩悩をますます肥大化させて、心の苦しみも同時に大きくなっています。また、人間が自然と調和して存在しているということを忘れて、我々の本来の居場所、依って立つところが見えなくなっています。

今こそ、科学と宗教がお互いに補い合う形でその役割を果たしていくことが必要だと思います。アインシュタインは、「現代科学に欠けているものを埋め合わせてくれるものがあるとすれば、それは仏教である」と述べています。

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