苦戦していますが、日々是好日です

第29期 N.T.

5年前、私が56歳の秋、33年間働いてきた看護教師としての仕事も先が見えてきたので、新しい生き方を求めて東京国際仏教塾に入塾いたしました。そこで、臨済禅と出会い、翌年一年をかけて仕事の整理をして、看護大学を早期退職いたしました。平成28年4月に岐阜県の臨済宗門の正眼短期大学に入学、僧堂への掛搭前教育を受け、短大の教員をしていた龍福寺住職に授業師を引き受けていただき、山川宗玄老師の下、得度いたしました。しかし、授業師の先生は、わずか一か月で、逝去されてしまいました。
そして、私は、3人の尼僧と共に正眼専門道場に掛搭しました。そこは、想像を絶するほど辛い所でしたが、一度足を踏み入れると、もはや元の生活には戻れないような奥深い経験をさせていただきました。ところが、師僧のいない私は、帰るタイミングが分かりません。取り敢えず一年と決めていたので、一年で暫暇いたしました。しかし、実は修行日数が不足していたことに後で気が付きました。仕方なく、短大のカリキュラムを卒業し、新しい師僧にお願いし、再度、女性専門道場の天衣寺に掛搭しようと思い、令和2年10月に道場の門を潜りました。いずれの道場も年配者には、非常に辛いものでした。生まれて初めて、飢餓感、低栄養状態の苦しみを知りました。真っ暗な寺で夜中に起きて、掃除をし、夜中まで坐禅をし、眼も耳も低栄養で急速に悪くなり、作務で転んで捻挫し、ケガの絶えない毎日でした。それでも若い雲水に混じって、頑張っていました。しかし、天衣寺に入って一か月、60歳の私があまりに痛々しく思われたのか、今度は師僧に、連れ戻されてしまいました。
道場を下りても、僧侶でいたいという思いは強く、師僧の紹介で、空き寺になっていた尼寺に住み、看坊をしながら、妙心寺の安居会で住職を目指すことになりました。今は、兼務住職の計らいで、元の檀家さんの月命日や法事、棚経、施餓鬼などを教わりながら務めさせていただいています。驚いたことには、お寺の近所の方々は、応援してくださいます。初めは、いつまでいられるのかと思っていましたが、ご近所の方々の温かな気持に触れ、本山の安居会に通って必ず住職になって、このお寺を継ごうと心に誓っています。ところが、世間はコロナ禍、安居会は延期になるばかりで、目的を果たせる日がいつ来るのか不安ではあります。

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