かように父はアホになりました
上記のタイトルは、父から届いたショートメッセージです。
本や調べもの、研究が大好きだった父は、昨年、手術し、入退院の繰り返し。眼はよく見えなくなり、筋肉は衰え、散歩も出来ない日々が続き、徐々に心と体のバランスを壊し始めました。まるで駄々っ子のようになり、かつての赫灼とした姿は見る影もありません。生きる、老いる、病気になる、人生の、誰もが抱える問題が、高齢になって、一気に押し寄せてきたのでしょう。父にとっての現実は、まるで「暗闇の中で身動きが取れない」もどかしさに襲われている状況かと想像します。そして、この一文…。
この出来事を冗談交じりに友人に話したところ、ひと言「お父さんは、まだまだ生きたいのね」と。さすがに、この言葉をどう受け取り、返していいのか、悩みました。
時は残酷です。留まることはありません。また、生まれたからには必ず、死が訪れます。父にとって、この苦しみから開放される選択があるのなら「死ぬ」ことなのかもしれません。しかし、その選択は正しくない。そして、どんなにもがいてもいいから精一杯、生きてもらいたいと願います。こちらも毅然と受けとめます。
家庭でケアしている方々は、きっと同じように感じていらっしゃる方も多いでしょう。
たしかに先の友人の言葉には悩みましたが、「充分、面倒をみてやってください」と言われると、今度は「言われる以上にやっています!」と叫びたくなります。矛盾だらけです。
まだまだ未熟ではあるものの、私が仏教を学び、本当に良かったと感じたのは、かつての先人たちが同じように悩んでいたこと。三毒(貪欲、瞋恚、愚痴)に代表される煩悩にどう向き合うか。腹立ちをどう消化するか。そのノウハウを少しずつ、身につけていることだと、日々、感じています。
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