「縁起」の道理を見失った環境破壊

お釈迦様は、すべてのものは他のものと網の目のようにつながって、関わり合って存在しており、一つとして独立して存在しているものはないという「縁起」の道理を説かれました。

この「縁起」の道理で世界を見ていくと、周りがあって自分があるのだから、自分にとって都合の良いことばかりをしていくことはできない、自分の思い通りにならないのが当たり前であるということになります。

私たちが、生きていくために必要な空気や水に恵まれていること、様々な食べ物を手に入れることができるのも、多くの生き物たちを支える豊かな海や森、川があるからです。それなのに人間は、自然とのつながりを見失って、自分たちの目の前の生活を豊かにしていくために、工場からの排水や廃棄物などによって海や川や大気を汚してきました。また、他の生き物が必要とする資源を必要以上に奪い、食糧危機、水・エネルギー資源の枯渇などを引き起こしており、結局は自らの生活を脅かしています。

これは、人間が地球の一員として自然に支えられ、生かされていることを忘れてしまったこと、何でも人間の思い通りになると思い込んでしまったこと、すはわち「縁起」の道理が見えていなかったことが要因ではないでしょうか。

仏教は、すべてがつながっていて、お互いに依存しあっていることを仏の智慧として知らしめ、自分中心の行動を戒めます。そして自分たちが生きていくことは、他の生き物の命を傷つけたり、奪ったりすることであり、それに感謝をし、必要以上に求めないことを教えてくれます。このような仏教の教えは、これからの人類にとって、ますます重要になってくるのではないでしょうか。

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