臨済宗僧侶、太田宗誠師の第二の人生の歩み方③-懸命に生きる-
第二の人生で僧侶を選んだ太田宗誠師について、3回にわたり、取り上げてきました。今回で最終回です。
太田師の取材で伺ったこの日、東京・世田谷にある大澤山 龍雲寺の本堂では坐禅会が開かれていました。坐禅会が終わった後、坐蒲を片づける太田師の姿がありました。77歳とは思えない機敏な動きです。若い僧侶が坐禅の指導をなさっていましたが、彼に対しても柔らかな物腰。ポツリと口にされた「平日の昼間に、こんなに若い年齢の人たちが集っていいか、少し不安だ」との言葉が気になりました。
坐禅会には約20人近く集まっているわけですから、「成功」でしょう。心を整えることも大事です。しかし、一方で「生きていくための仕事も大切なのでは?」という捉え方なのかもしれません。定年と言われる年齢まで必死に仕事に勤しみ、第二の人生で僧侶の道を選んだ太田師らしい感覚です。
改めて、僧侶になった感想を伺いました。
ひとつは「呼吸の役割」だそうです。ひとつひとつの細胞が潜在能力を精一杯発揮。汗をかきながら「生きている」。呼吸を通じ、それを改めて気付かされたこと。
ふたつ目は「あるがままの自分を受け入れることが出来るようになった」。生きている自分を「許せる」、「再理解が出来るようになった」ことの気付きです。
「人にはそれぞれ理想があります。今は、頭から足元まで、1本、芯が通っているなと思っているということでしょうか」
もしかしたら、僧侶の道を歩まなくても太田師ならば出来たことかもしれません。私たちの周りにも、前向きに生きている人、努力している人、大成功を治めている人が大勢います。しかし、太田師は今の自分自身を俯瞰で見た時、「自己満足かもしれませんが、求める心を捨てることで、生命を一生懸命に生きている。これ以外、なにが必要なのだろうと思っています」とおっしゃっていました。

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