宗教とはなにか-仏道を歩むための一つのご参考に-
第36期開講記念で行われた、竹村牧男先生の特別講義の内容の一部をご紹介します。
一、はじめに
今日はまず初めに、いわば宗教学の基礎みたいなお話をさせていただきます。皆さんは仏教の世界へ入っていかれるわけですが、仏教も宗教の一つです。では宗教とはいったい、何なのでしょう。このことを、しばらく宗教学者の知見に学びたいと思います。
二、宗教の分類
まず、宗教の分類の仕方にはいくつかあって、例えば、「自然宗教と創唱宗教」の2つに分けるという見方があります。
自然宗教は、開祖も教典もなくて、自然発生的に現れた宗教です。日本の神社神道とか、ヒンドゥ教とかです。それに対して、開祖がいて、その開祖が教えを初めて唱える、そういう宗教を創唱宗教と呼ぶのです。今日の新宗教や、神道の世界でいうと教派神道の黒住教とか金光教とかは創唱宗教の方へ分類されます。
次に、伝播の範囲の異なり方によって、例えば、「部族宗教、民族宗教、世界宗教」と分けたりします。この分類は、解りやすいでしょう。
次に時代軸で分けて、原始宗教・古代宗教・歴史宗教・近代宗教・現代宗教という分類があります。
原始仏教は、もう呪術と変わらないような、非常にプリミティブな宗教です。古代宗教とは、多神教とか、ある程度、神の概念もしっかりしてきて、何らかの教義みたいなものも形成されるような段階の宗教です。歴史宗教は、先ほどの世界宗教が当たります。西暦紀元前後あたりで現れてきた宗教で、人間の意識を超えた超越者というものを意識しだし、世の無常の問題とか自己の死の問題とかを自覚するようになる。そうした宗教が歴史宗教です。
近代宗教というのは、この世間をはかないものと否定的に見る立場から、この世で一所懸命勤めることによって天国に入れる等と、現世での働きを肯定する立場が現れてきたものです。プロテスタントのカルヴィニズムとか、日本の仏教の中では、例えば江戸時代、鈴木正三という人が出て、農業とか日常の活動の中に宗教性を見ました。そういう現世の中に宗教的実践の意義を見出していくような宗教が、近代宗教です。
最後に、現代宗教というとまさに現代の宗教なのですが、ではその特徴は何かというと、まだ一定の形として決めることができない。そのできないところが現代宗教の特徴だと、そういうことを宗教学者は言うのです。
※全文(ダイジェスト版)は『佛教文化』第215号で紹介しています。
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