心が創り出す世界

仏教には、「万法唯心」や「心生万法」という言葉があります。これは、「心の働きによって、あらゆるものが生み出される」という意味です。私たちが見ている世界は、客観的な現実ではなく、心の働きによって解釈されたものであることを示しています。

この心の働きを理解する上で、「錯視」は興味深い現象です。錯視は、視覚における錯覚の一種で、図形の長さや大きさなどが実際のものとは異なって知覚される現象です。

有名なミュラー・リヤー錯視では、同じ長さの線分が、矢羽根の向きによって長さが異なって見えます。これは、私たちの脳が、線分の長さを、矢羽の向きによって補正しているために生じると考えられています。次の図の矢羽に挟まれた線は全く同じ長さですが、下の線の方がずいぶん長く見えると思います。

錯視は、私たちの心が外界をどのように解釈し、現実とは異なる認識を作り出しているのかを示しています。私たちは、五感を通じて外界を認識しますが、その情報は脳によって処理され、解釈されます。つまり、私たちが見ている世界は、客観的な現実ではなく、心によって創造された主観的な現実であるということです。

仏教では、この心の働きを理解し、心をコントロールすることによって、永遠に続かないもの、ありもしないものを求め続ける苦しみから解放されると説いています。瞑想などの修行を通じて心を静め、認識を歪める執着や偏見から離れることによって、ありのままの世界を受け取ること(如実知見=仏のさとり)を目指していきます。

自分の認識は自分の心の影響を受けており、そのままの現実を写しているのではないということを仏教を通して学ぶことによって、分別を離れ、仏の心を通して見た世界の姿が真実であることを教えていただけます。

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