禅和尚のぶつぶつ⑦ 呼吸
東京禅センターを中心に坐禅指導をしています。機会あるごとに呼吸について語っているため、「どこかで聞いたぞ?」と思われる方がいるかもしれません。いつも言い放しにしている自分のためにも、文字にして整理したく、改めて取り上げさせて頂きます。
私にとって、坐禅は呼吸です。
言い換えると、しっかりとした呼吸をするために坐禅をすることと考えています。
背筋を伸ばした正しい姿勢が、深くゆったりとした呼吸を、そして呼吸の役割を引き出してくれています。
生物は、生きるエネルギーをどうやって得ているのでしょうか。
小学校の授業のようですが、生物は食物を食べて、身体の中で燃焼させてエネルギーに転換します。
その燃焼には酸素が必要です。この酸素を呼吸で体内に取り込みます。しかし、燃焼した後には燃えカス=炭(炭素)が残りますので、それをまた今度も酸素が体外に持ち出します。ですから我々は、二酸化炭素を吐くことで、体内から不純物を捨て、クリーンな身体を維持しているのです。
坐禅の時に「吐く息を長くするよう、意識しなさい」と言われます。
これは、息を吐き切り、身体のデトックスを行っているということ。身体をクリーンにして、身体を形作り、また活動させている細胞をいきいき活動できる状態にするという流れです。
この細胞は、我々が起きていようが、寝ていようが、調子がよかろうが、悪かろうが、一生懸命生きようと、24時間、活動しています。そして現在では、細胞が形作る内臓や筋肉は、脳の指令によらず、互いに連絡しあって調節し合い、身体の調子を回復に向けて、応援しあっていると判明しています。
私の子供のころは、「擦り傷は舐めて治しておけ」と言われました。自身の免疫力だけでなく、身体には潜在的な修復、回復能力も備わっているということです。それなのに往々にして、どこかで聞きかじった宣伝に惑わされたり、色々な対処サプリに頼ったりして、逆に身体の本来的な能力を減少させています。
生きる力、生きようとする力は、各人の身体の中にあります。身体の中から湧いてくるものです。
坐禅は、その力を気づかせてくれます。
呼吸は身体を養い、生きる力を呼び起こしてくれます。
太田宗誠 合掌

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