第37期スクーリングが開催されました
5月17日、東京国際仏教塾の第37期のスクーリングが開催されました。
会場は、開講式&閉講式と同く、本郷にある東京大学仏教青年会館です。こちらの会場は、東京大学の教員や学生を中心に、仏教の精神にふれることで自己を見つめ、教養を高める場となることを目的に、100年以上、活動を続ける東京大学仏教青年会が創設したもの。由緒ある会の場を借り、仏教の学びを深めることが出来るだけでも素晴らしいことです。

午前中は、大洞龍真塾長の「仏教の基礎を学ぶ」です。約2500年前に釈尊(お釈迦様)がなにを悟ったのか、仏教の基本「縁起」の教えに始まり、「諸行無常」「諸行無我」「涅槃寂静」の三法印など、耳馴染みがありながらも詳細まで知らない仏教初心者でもわかりやすい内容。塾生から、この基礎を知ることは「勉強になる」「助かった」との声が上がっていました。
午後からは仏教学の第一人者、3名の講座がありました。それぞれの先生たちの授業が、後のレポートに繋がることもあり、聞き漏らすまいとする塾生の姿には、毎年のこととはいえ、頭が下がります。

小峰彌彦先生の「日本仏教史」です。日本に与えた大乗仏教と密教の関係、教義や実践に大きな相違点あることは否めない、これら双方の特徴を明確に示してくださいました。その上で、空海が日本に持ち込んだ密教、そして曼荼羅という表現方法の解説と続きます。塾生からは「これまで漫然と曼荼羅図を拝見していたが、一歩、近づいた気がします」とのコメントをいただきました。

渡辺章悟先生の「大乗仏教論」です。今回の講義のタイトルに「大乗の仏と菩薩」とあるように、仏陀がサンスクリット語のbuddha、菩薩がbodhisattvaの音写であることの紹介や釈尊の前世物語『ジャータカ』の存在、大乗仏教の意味、大乗仏教という革新運動の背景のひとつにある菩薩戒へと続きます。渡辺先生の熱量も高く、担当の時間がオーバーするほど。戒壇については「馴染みのある寺院の名前が出て、存在の意味合いが理解できました」と塾生の感想を頂戴しました。

佐野靖夫先生は「仏教概論」です。過去を学ぶことは、現在のグローバリズムや世界宗教を学ぶことに繋がるということから始まった内容は、塾生の心をつかんだようです。①仏教の伝播、②人として守るもの(五戒)、③正しいこと(無慚と無愧)、③説法のすべて(初転法輪)、⑤実践的態度(無我と十難無記)の5つの主要項目。教理を「ともに深く考えよう」という提案にも、塾生の多くがうなずく姿が見られました。