生死一如

1998(平成10)年、東京国際仏教塾の開講式で行われた鎌田茂雄先生の記念講演を18回に分け、ご紹介しております。本日は第13回です。

仏教はインドで生まれました。 ガンジス川の近くで死体を焼いています。 そして、 焼いた死体の骨をまたガンジス川に流してしまうのです。
人間はガンジス川の流れから生まれ、 わずか六十年なり八十年なりをこの世で生きている。
そしてまた死ぬと、 全部のヒンドゥー教徒はそこで死体を焼いて、 骨にして、 灰にしてガンジス川の流れに戻している。
ガンジス川というのは永遠なる輪廻なのです。 天から下ってインドの大きな平原を流れ、 再び天に帰って行く。 人間もその中で生まれ、 働き、 死んでそしてガンジス川のほとりで焼かれ、 ガンジス川に帰る。
流されて帰っていくことを、 呼吸法と考えてもいいし、 呼吸を宗教的考えで説明してもいいのです。
生きていることと、 死んでいることとは裏と表なのです。 そう考えると、 仏教では生死一如と言います。 生と死というものは、 二つであって二つではない。 二つのように見えますが、 実は裏と表。 一つのものの、 裏と表なのだ、 ということになろうかと思います。  -つづく-