東京国際仏教塾(以下「仏教塾」と略称)に関するQ&A

組織や機構について

仏教塾というのはそもそも何なのですか?
お寺やお盆、お彼岸などでおなじみの仏教の内容を、教義や歴史、さらには読経やお参りの仕方などの具体的な作法などを含め、基礎から総合的に学んでいただこう、というものです。広い意味の仏教学習団体です。
日本には多くの宗派があるようですが、それらの宗派や組織とはどんな関係にあるのですか?
直接的には関係ありません。宗派にとらわれることなく、宗派の垣根を越える「超宗派」の団体です。ただ一年の後半に学ぶ専門課程では伝統的な7つの宗派、すなわち天台宗、真言宗、浄土宗、浄土真宗、臨済宗、曹洞宗、日蓮宗のコースを用意し、ご自分の好きなコースごとに、さらに細かくかつ実践的に学んでもらうことができます。そこでは各コースの寺院やご住職のご協力をあおぎます。そして場合によっては在家得度を受けて正式な仏教徒となったり、出家得度をしていただいてお坊さんになったりすることができます。いずれの場合も塾を修了した後のことであり、各個人は得度の時点で宗派、宗門の一員となり、組織的にも関係することにもできます。ですから塾自体が組織的に関係するというものではありません。
日本では珍しい姿ではないでしょうか?
まったくその通りです。日本の仏教は宗派仏教といわれます。特に江戸時代に檀家制度が始まってからはすべての人が家単位でお寺に帰属させられ、時代が変わった現代になってもその影響を強く受けています。いい面、悪い面さまざまありますが、仏教、あるいは宗教離れ、を招いた一因にもなっています。それが逆に宗教まがいのカルト集団を産み出す背景にもなっているわけですが、仏教塾はこうした歴史的弊害を除いて本来の仏教、正しい宗教を身に付けていただく狙いもあります。ただ仏教は、八万四千の法門があるといわれるほど、広いものですので、いずれかの門を選んで学んだ方が早道という要素もあり、伝統宗派への道も用意しているわけです。早道とは言っても本当に身に付けるには相当難しいことは無論ですが。
塾長は浄土真宗のお寺さんのようですが?
その通りです。大洞塾長は岐阜市にあります光明寺の住職です。大洞師は先に述べたような問題意識や現代状況をみすえたうえで、仏教のさらなる布教の必要性を感じ取り、一般社会の方々の協力を得たうえで塾を立ち上げたわけです。従って自分の宗派宗旨だけに塾生を引きつけようという考えなどはありません。ただ、塾独自の施設設備などはありませんので塾長のお寺の施設の一部を塾の事務所などとして使わせていただいております。
では仏教塾は団体としてはどんな性格なのですか?
宗教法人でも学校法人でもありません。まったくの任意団体です。そういう意味では一種の私塾というべきですが、先に触れましたように民間人からのご協力でスタートし、その後も塾の卒業生を含む多くの方々に協力していただいております。これは「東京国際仏教塾塾の会」という組織にまとまっておりますが、これも何の法人でもありません。
運営の費用などはどこから出ているのですか?
入塾者の皆さんに、授業料として納めていただくものが大半で、あとは「塾の会」の皆さんからの援助だけです。特定の団体や個人からの大口寄付などは一切ありません。授業料は、1人でも多くの方々に仏教を学んでいただくためにできるだけ低く抑えています。塾のスタッフなども、まったく無償の塾長をはじめ、いずれもボランティア的なもので、講師の先生、各寺院のご住職などの指導陣にもそういう意味のご協力もいただいているから何とか継続できているわけです。ですから、独自の施設などは無いわけです。もっとも施設や資産を増やす考えなどは塾長にもスタッフにもありませんが。
スタッフの構成はどうなっているのですか?
上記のような事情もあって常任スタッフは学監と事務局長の二人だけです。あとは本部事務所として間借りしている塾長のお寺に勤務する僧侶、職員にボランティアとして協力をいただいております。ですから塾生の皆さんをはじめ外部との連絡などには何の支障もありません。
何名くらいの人が学んでいるのですか?
毎年、60~80名ほどの方が入塾されています。年ごとの人数は、塾生統計でご覧になれます。
卒業するまでに、どれくらい費用がかかるのですか?
専門課程に進まない方の場合、【仏教入門課程】授業料として50,000円(入学金・スクーリング受講料、指導料等)、修行費2回分(4泊12食付)40,000円 計98,000円。そのほか、会報「佛教文化」年間購読料(2500円)や参考図書の購入費、スクーリングや修行などの際の交通費がかかります。詳しくは塾課程の詳細をご覧ください。
年齢制限はありますか?
制限はありません。20代~70代の幅広い年齢層の方が学ばれています。
女性も参加できますか?
女性の方も多く入塾されています。全体の30%超いらっしゃいます。
募集はいつから始まりますか?
毎年、11月の下旬から始まり、3月まで受け付けています。入塾説明会も実施していますので、詳しくは塾課程の詳細をご覧ください。

学びの内容について

入塾には資格や条件はありますか?
ありません。年齢、性別、職業、住所などは一切不問です。ある程度、日本が理解できる方なら国籍も問いません。ただ、すでに出家得度している方には遠慮していただいております。
入塾のための合否は何をもって判定するのですか?
願書だけです。本人の手書きが原則です。たった一枚の用紙ですが、書き方や内容から入塾にふさわしいかどうかを読み取り、合否を判定します。
会社などに勤務しながらでの履修もできるのでしょうか?
できます。指導方法は基本的には通信教育、つまり、指導に則って自宅で学習する形態です。入門課程では2回の宿泊修行が必須で、専門課程でもコースによっては寺院での泊まり込み修行となりますが、いずれの場合も原則として週末だからです。
A組、B組という組み分けの基準は何ですか?
東京からみて比較的遠隔地の方にはA組、近くの方にはB組にはいっていただき、入門課程の修行などで別れていただきます。ただ勤務などの関係で、募集要項記載の日程では参加できないという方には希望に応じることができます。
得度を受けた人が多いようですが、「得度」というのはどういうことですか?
正式な仏教徒になるということです。正式という意味は、宗派宗門で認められた一定の資格を持つ僧侶による、きちんとした儀式を通して仏弟子になり、以後は仏教徒の自覚をもって生きていくというのが一般的です。塾でうたう得度もそういう意味です。また、得度には、在家の仏教徒となる在家得度と、僧侶となる出家得度があります。特に、僧侶となる出家得度は、塾の一年課程の間に実現できるというものではなく、塾を卒業した後に、専門課程で学んだ講師などのご協力を得て実現するものです。従って講師との信頼関係はもちろん、一定の期間、費用もかかります。
在家得度と出家得度の違いは何なのですか?
在家得度というのは得度の後も、以前と同じような一般社会人として生活しながら仏道を歩んでいくという姿です。出家得度は僧侶、つまりはお坊さんになることです。ただ、出家というのは昔のお坊さんのあるべき姿を表現した言葉をそのまま援用しているだけで、現代日本においては文字通りの「出家」という姿はほとんどありません。従ってその後の生活スタイルにはさまざまあります。専門の道場にはいって修行する人、当面はいままでの生活を維持しながら将来専門的な修行に入る人などです。少なくとも自覚すべきなのは僧侶になったからといって一定の収入などを期待できるものではありません。またお寺の住職にもめったになれません。つまり老後の収入のため、あるいは転職などのためにお坊さんにでもなるか、といった安易な考えはまったく通用しません。あくまでも仏教の内容である真理に則った人生観なり世界観を身に付け、実現することをめざす仏道修行の上での一つの関門という受け止め方が必要です。
では仏教塾の統計に出ている出家得度者の実際の姿はどんなものですか?
大半がほかの仕事や年金などの収入を持ち、普通の生活の場で精進を続け、仏教に根差した生活を実現しようと努力しています。それだけでは在家得度と変わりはないのですが、僧侶となった以上、努力の成果を何らかの形で社会に還元する、つまりは布教をするという意識を持ち、中には自分で仏教を学ぶ場所を開いたり、講演や執筆活動などで布教に努める人、まためったにないご縁に恵まれ、お寺の住職になっている人、専門僧堂などの道場で修行中の人なども、それぞれ数人程度ながら、おります。