念仏の詩(うた)②

自転車に乗り ふと気がつけば
仏のいのちが 私のいのちになり
風の中を なむあみだぶつ 走っている(榎本栄一)

当塾・東京国際仏教塾では、毎年、千葉の鹿野山禅道場にて宿泊の修行体験をしています。
禅堂にて1日3回の坐禅を行います。足を組み、背筋をピンと伸ばして坐ってみますが、すぐには無念無想の境地とはいかないようです。そこで大切になることは呼吸です。

禅僧は腹式(丹田)呼吸をしていますので、1分間で1呼吸か2呼吸するのみです。私たちは、日常無意識のうちに1分間で10数呼吸をしているので、禅僧の息はとても長いことになります。

そこで初心者は、まずは心の中で「ひとーつ」「ふたーつ」と数えて、息を長くするようにします。「ひとー」で息を吐き続け「つー」で息を吸う感じです。それを「とおー」(10)まで数えたならば、また「ひとーつ」に戻るのです。
これを繰り返していくと、次第に呼吸が整い、息が長くなっていきます。身心ともに整ってくるにしたがって、数を数えることから意識が離れ、より進んでくると意識の対象もなくなっていきます。
薄暗い堂内には20名以上が坐っていても、静寂そのものの空間になります。
外では鳥たちがさえずり、時折、禅堂の上を風が吹き渡っていくのみ。

無想の世界は意識を対象に働かせないので、堂内の私と外の世界が全くひとつに融けこむ、その一瞬。自分と他を隔てる壁が破られて見えてくる風光、そこのところを念仏詩人の榎本栄一翁は詩っています。

大熊信嗣学監

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