沖縄の「エイサーと仏教」①

東京国際仏教塾卒塾生の並木浩一さんによる書き下ろしエッセイをお届けします。テーマは“沖縄の「エイサーと念仏」”です。第一部は全7回、週一で公開いたします。

エイサーは念仏踊である

沖縄を代表する芸能として、「エイサー」の存在が知られています。勇壮な頭巾姿の男衆と、短尺の着物姿の娘衆が琉球民謡に合わせて踊る、沖縄伝統の郷土芸能。太鼓を叩きながら跳躍するアクロバティックな男踊りと、若い娘たちの一糸乱れぬ可憐な手踊りは、エキゾティックさを香らせながら観るものを魅了します。沖縄旅行の際には、ホテルやショッピングセンターでの催しで目にする機会もありますし、何より各地にエイサーの演舞集団が群雄割拠しています。また沖縄出身者や沖縄好きが全国各地でエイサーのサークルを結成してもいます。有名な「新宿エイサー祭り」のように、沖縄以外でも地元に定着することも珍しくありません。リズム感や運動性に富んだ点から小学校で教えることも多く、運動会の集団演舞で披露されてもいます。
さて、このエイサーですが、実はルーツは「念仏踊り」にあることをご存知でしょうか。いまエイサーの中に、その痕跡を見つけることは難しいかもしれません。事実、旅行客向けの観光エイサーは、純粋なダンス・エンターティメントにしか見えないでしょう。それでも、歴史は変わりません。エイサーに熱狂する沖縄のひとでも、その事実は忘れられがちなのですが、エイサーは沖縄に仏教が伝来したことの、確かな記憶でもあるのです。  -つづく-

Profile:並木浩一(なみきこういち)
1961年横浜生まれ。桐蔭横浜大学教授。時計ジャーナリスト。ダイヤモンド社「ダイヤモンド・エグゼクティブ」「TVステーション」両誌編集長、編集委員を経て大同大学教授(メディア論・芸術論)、2012年より現職。編集者時代に東京国際仏教塾9期入塾、「仏教を学ぶと、生きるのが怖くなくなる」と実感し、専門課程を経て浄土真宗で得度。「沖縄のエイサーと念仏」についても研究中。

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写真提供/沖縄県名護市観光協会