獅子と牡丹

日本画や屏風、欄間、門の錺などで「獅子と牡丹」の組み合わせをご覧になったことがあると思います。また、歌舞伎の連獅子などの「石橋もの」でも、必ず大輪の牡丹が飾られます。

なぜ、この組み合わせなのかと不思議に思いませんか?

獅子(ライオン)は百獣の王。ただひとつ恐れるのは身中の虫。体毛の中で発生して、増殖し、肉にまで食いつく害虫です。その害虫が嫌うものが、牡丹の花から滴り落ちる夜露です。そこで、獅子は牡丹の花の下で安心して眠る、つまり、獅子にとっての安住の地が牡丹の花の下。そのため、この取り合わせが多いとか。

社会や会社において、どんなに強い立場や偉い地位でも、おごってはいけないことを意識すべきという戒めの意味になります。

故事成語の「獅子身中の虫」の語源は、鳩摩羅什訳とされる『梵網経(ぼんもうきょう)』の中にあります。仏教の教えの恩恵を受ける仏教徒が仏教を裏切り、仏法を破壊することを意味して使われています。仏教は外部からではなく、教えに背く仏教徒によって破壊されるという、かなりヘビーな言葉です。

どこかで「獅子と牡丹」に出合ったら、このことを、ちょっとだけ思い出してみてください。

2021年、40年ぶりに修復され、公開された西本願寺の国宝・唐門。別名「日暮(ひくらし)門」と呼ばれる。
西本願寺の唐門の一部をクローズアップ。

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