法華の寺に学ぶ

第32期生 S.M.

これまで、坐禅などの体験はあるが、寺院に宿泊して、いわば寺の見習い僧侶的な実体験ができるということで、期待に胸膨らませ妙厳寺の山門をくぐった。この三日間を通して思ったことは、当然なことではあるが決まった規律や作法に従う生活であるということである。遠い昔より仏教教団の中で確立された意味のあるものであり素晴らしい英知であると信じ、自己の恣意や決定など入る余地のないものと覚悟した。修行体験で最大の感動は何といっても浄心行から唱題行へ、さらに深心行と向かう夕方の修行である。夕闇せまる静寂の中、聴こえるのは唯一お題目だけ。太鼓に合わせてひたすら唱えていく。一同のお題目が本殿に溶け込み一体化していく不思議な感覚。私は、そこに妙な高揚感を感じていた。次に講話では、野坂住職や大熊学監両師より、それぞれ思いに残る言葉を受け止めた。野坂住職からは大曼荼羅本尊から導き出される仏教の重要な教えとして「一切衆生悉有仏性」という言葉を説明して頂いた。どんなものにも存在意義があり、かけがえのないものであるという。これには改めて考えさせられた。教師という立場で日々生徒の指導に当たっているが、時として「こいつはしょうがない奴だな」と決めつけてきたことがあった。この生徒が必ずや持っているであろう良さを見抜けない教師としての力量の狭さを教えられたからである。次に大熊学監からは「学ぶこころ」ということで我々がこれから学ぶ姿勢を示唆して頂いた。四弘誓願の解説では「衆生無辺誓願度」と最初に利他への願いを述べている。このことは、我々の学習や修行が自分のためだけでなく、常に他者へ思いを巡らす気持ちを持てということではないだろうか。今こそ、このような大乗仏教の思想や実践を学ぶ必要性を感じた。今後益々、修行意欲が高まる次第です。合掌