早寝・早起きも養生

1998(平成10)年、東京国際仏教塾の開講式で行われた鎌田茂雄先生の記念講演を18回に分け、ご紹介しております。本日は第15回です。

過閑は養に非ず
連休などはあまり良くないのです。 朝から晩までテレビを観て、 たまの連休だからいいじゃないかと。 1年中連休だったら人間は死んでしまいます。 体が駄目になってしまうのです。 朝から晩まで寝転がってテレビを観ていたのでは目も悪くしてしまいます。 そして朝から酒屋に行って、 酒ばかり飲んでいたのでは、 どうにもなりません。
ですからここに言うのです。 過閑は養に非ず。 定年退職されたら何かしらしなければならない。 それも良いことでなければならないのです。
何でもすればいいだろう、 ということでスリの学校へ入ったのでは、 やはりまずいのです。 良いことでなければ。 清忙と過閑ということを覚えておいて下さい。

早寝・早起きも養生
そしてもう一つ良いことを一斎先生は言っています。
【暁あかつきには早起はや お きを要ようし、 夜よには熟睡じゅくすいを要ようす。 並ならびに是これ養生ようじょうなり】 (朝早く起き、 夜はぐっすり眠る。 この二つはともに養生である。)
朝は早く起きる。 夜は早く寝て熟睡を要するということですが、 今テレビでいい番組というのは、 10時頃からあるのでしょう。 若い人達にとって、 夜の10時頃から深夜の1時頃までが一番いいテレビなのです。 ですから、 テレビというものは体にはあまり良くないのです。
人間、 9時には寝ないといけないのです。 そして朝は五時に起きると見違えるようになります。 お寺へ行くと当然そうなります。 夜の就寝は九時ですから。
私も若い頃、 中国の寺へひと月・ふた月・み月と滞在して仕事をしていましたが、 中国の寺ではだいたい朝3時半起床が多いのです、 四時からは読経がありますから。 そして寺の掃除。 7時頃に簡単な食事を済ませ、 その後上手に寝ればよいのです。 その後に睡眠を取り返せばよいのです。 要するに朝は早く起きなければいけないのです。
朝は早く起きる。 夜は熟睡をする。 ならびに是養生なりと。 とても良いことを言っているのです。
【老人は養生に托して以て放肆ほうしすること勿れ。 養生に托して以て奢侈しゃしなること勿れ。 養生に托して以て貪冒とんぼうなること勿れ。 書しょして以て自ら警いましむ。 】
(老人は養生にかこつけて勝手気ままになったり、 奢り耽ったり、 無闇に欲張ったりしてはいけない。 このことを書いて自ら戒めとする)
老人は体を大切にしなければいけない、 と思って怠けていてはいけないというのです。 放肆はいけないとは、 怠けるのはいけないということです。 つまり放肆というのは、 勝手気ままなことです。
老人は養生するのだから、 といって勝手気ままに、 生活をしてはいけないのです。 確かにその通りです。
養生に托して奢侈なること勿れ。 奢侈もいけない。 奢侈は奢ることです。 いい物ばかり食べる。 贅沢をするということがいけないというのです。 奢ってはいけない。   -つづく-