喫茶去の心

東京・骨董通りにあるギャラリー『西浦緑水堂』の西浦喜八郎氏は日本のみならず、海外でも茶道、華道、香道、書道など日本文化全般の指導に尽力されています。西浦氏は茶室に飾られることが多い、中国の唐の時代に生まれた禅語「喫茶去」をついてお話しくださいました。
「喫茶去とは、お茶を飲んでいきなさいという意味で使われます。なぜ茶室に禅語か? それは、どのような人が来ても、分け隔てなく声をかける。過去も未来も貧富貴賤もなく、ただお茶を勧める、今を大切にする。その〝心〟をこの言葉が示しているからでしょう。
日本では、茶道と聞くと堅く厳格なイメージを持っておられる方もいらっしゃいますが、遡ること桃山時代のころは、誰でも自由にその場に来て、お茶を飲み語らう場でもあったようです」
茶室に集った人々が、そのひとときの縁を楽しむ—そのために「まぁ、お茶でも飲んでいきなさいよ」=「喫茶去」と声を掛けたのでしょう、とも。
距離感が取りにくい今だからこそ、ひとときの縁を大切に、お茶を飲み語らう、サロンのような雰囲気が一番求められているような気がします。

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京都『鍵善』の喫茶質入口にかけられた「喫茶去」