一編の詩にふれ

ラジオから流れてきた詩に、パソコンのキーボードを叩いていた手が止まりました。
「生きているということ
いま生きているということ」
谷川俊太郎氏の「生きる」という詩です。
東京大学が発表した試算によると、コロナ禍によって自殺した人は、昨年3月〜今年5月を前年度と比較すると約3200人増加。計算上、今後も増える見通しと発表されました。
思い返すと、2年前の9月は自由に出かけていました。現在は、マスク一枚にも関わらず、息苦しさ、不自由さを感じています。
再度、谷川氏の「生きる」に戻りましょう。詩の中には、
「かくされた悪を注意深くこばむこと」
「いまいまが過ぎていくこと」
「あなたの手のぬくみ
いのちということ」
とあります。
心の働きは、マイナスの方向へ引っ張られがちです。しかし、確実に「今」は留まることなく過ぎていきます。今はそうであっても、来年の9月はどうでしょう。友と会話し、旅し、「生きているということ」を実感しているのではないでしょうか。  -秋晴れの日に寄せて-

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