現実的な中国人①

東京国際仏教塾第12期の記念講演で鎌田茂雄先生にお話しいただいた内容を5回に分け、一週間に1回、ご紹介しています。
今回は、その第2回目です。

中国人はあまり死ということを言わない。 日本人はそれに感情が加わってきます。 ですから、 日本人はそれにものの哀れというようなものを加えまして言っているわけです。 中国人はあまり言わない。 中国人が言うときには、 非常に現実的な立場で言います。
たとえば 『菜根譚』 という本がありますが、 これは明の洪応明 (自誠) という人が書いた。 その人の伝記はよくわからないのですが、 日本では江戸時代からよく読まれている本です。
菜根というのは野菜の根のことです。 野菜の根を食べたことがある人、 つまり物質的に非常に貧困を経験したことのある人でないと、 人生の本当の深さはわからないという物語です。
一節ずついろんなことを書いておりますが、 病気と死のことについてやはりこういうことを言っているんです。 色欲は火のように燃え盛るものであるが、 ひと度病気のことを思い浮かべたならば、 たちまちその欲望も興ざめて冷えきった灰のようになるであろう。 これが病気のことについて書いているんです。 色欲、 男女の愛欲でありますが、 それは火のように強いものでしょう。 ところが、 そのときに病気のことを考えると、 急に冷めてしまう。
たとえば、 年を取った方が若い方と一緒に遊ぶというようなときに、 脳溢血のことでも思うと、 急にそういう欲望も冷めてしまうのではないか (笑)。 それは本当ですね。 脳溢血や脳血栓を起こすんじゃないかと一瞬思えば、 もうそういう欲望が消えてしまうわけです。 中国人というのはおもしろいですね。 そういうふうにして病気を考えるわけです。 ですから、 そういうふうに説いている。   -つづく-

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