十八番
市川海老蔵が十三代目「團十郎」を襲名し、堀越勸玄が八代目「市川新之介」をつとめることになりました。コロナ禍、いつもの「成田屋」と大向こうからかかる声が少なく、少々寂しい歌舞伎座でのお披露目。それでも襲名披露の王道、歌舞伎十八番のひとつ『勧進帳』で團十郎が得意のにらみをきかせ、新之介が『外郎売』の長台詞をよどむことなくやってのけると、会場が揺れるほどの拍手が起こりました。
この十八番と言われる演目は、天保7年に七代目市川團十郎がお家芸として選定したもの。今回の演目『毛抜』や『助六』、東京オリンピック2020の開会式で披露した『暫』を含め、全部で18演目です。
この十八番を「おはこ」と呼ばせる理由は諸説あります。「(歌舞伎十八の)大事な台本を箱に入れて保管していたから」という説、箱の中身を真作とする「箱書きから」とか。もっとも、得意な芸や技を指すという意味では、歌舞伎発の読みと捉えていいようです。リサーチしていて、仏教の経典『大無量寿経』の第十八願と結びつける説もありましたが、それはあまりに強引。しかも「おはこ」とはいいません。
仏教の十八という数字で思い浮かぶのは十八界。六根、六識、六境、合わせて十八の心のはたらきです。
また、観世音菩薩の縁日を18日に開催するお寺も多くあります。東京・浅草寺では、12月18日を「納めの観音」と呼び、この日をはさみ3日間、羽子板市が開かれます。
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