形は心をつくる

第33期生 N.W.

職場では休日を返上し職員総出で感染症と向き合う中、鶯の声と夜の雨と昼の晴天の中で過ごした二泊三日は、私には罪悪も感じる程の贅沢な時間となりました。同時に妙厳寺での修行経験に辿り着く私の発菩提心は、神仏に導かれて生まれた心だと感じ、感謝の心に満たされた清らかな時間でもありました。
野坂住職の講話「御宝前作法」は心愉しく拝聴しました。仏教を学ぶ者は、先人の智慧に従い模倣せよ、形を整え実践せよ、と御住職は話されていると私なりに解釈しました。
講話の中の「宗教的心境と立ち居振る舞いは連動している」「形は心をつくる」「繰り返し修練し閑雅なるよう努める」という教えは、私の心にしっくりとすわりよく響きました。物事を始める時に形態から入ると格好だけの中身のないマイナス印象を受けますが、仏教的な教養がゼロに近い私のような者にとっては包容性のある優しい教えと受け取ることも出来ました。
仕事と家事は長時間に割く生活を大きく変えることは困難ですが、この修行を終え、日常の生活動作の小さな場面で「形」の実践を試みるようになりました。まずは、起床時の「形」を少し整えています。元々毎朝四時起床の習慣ですが、家事を朝のうちに済ませるだけの早起きから、現在は起床から短時間ながら姿勢を整えて坐り、「形」のための早起きと捉えて実践しています。同じ起床時間でもこれまでの朝とは少し違い、その後の弁当作りや夕食の下拵えも典座の心持ち(思い込み)で行っています。食事も姿勢よく丁寧に、有難く頂くようになりました。
医療と仏教は生老病死が課題です。今後どれだけ上手に人に寄り添えるかわかりませんが、仏教塾で出会う方々から学び、真似をさせてもらいながら、「心」をつくってまいりたいと思います。合掌

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