仏教修行の全景を見渡す-その基礎的協議を学ぶ

第35期開講記念で行われた、竹村牧男先生の講義内容の一部をご紹介します。

はじめに 大乗仏教の目的

今日のお話には「仏道の全景を見渡す」という題を付けました。仏教にはさまざまな宗派があります。そしていろいろな行法など、さまざまな道がありますが、大乗仏教の基本的な修行の道筋はどういうものなのか、その全体像をお話しさせていただいて、それを傍らにされながら、ご自分の進まれる道を歩んでいただけたらと思います。

皆さんご存知のように、日本の仏教は大乗仏教です。大乗仏教に対して、いわゆる小乗仏教というものがあるわけです。小乗仏教の中に声聞の人々の仏道、縁覚の人々の仏道があり、そして大乗仏教は菩薩の人々の仏道です。大乗仏教の道を歩もうと決意した人は、みんな菩薩です。観音菩薩とか、文殊菩薩、普賢菩薩とか、

そういう方だけが菩薩ではありません。大乗仏教の道を行こうと決心した人は、みんな菩薩なのです。これを凡夫の菩薩といいます。 

これらの仏道の区別に関して、たとえば『法華経』「序品第一」には、次のようなことがいわれております。「声聞を求むる者のためには応ぜる(ふさわしい)四諦の法門を説き、生老病死を度して涅槃を究竟せしめ、辟支仏を求むる者のためには」、辟支仏というのは、いわゆる縁覚といわれる人々。最後に悟りを開く段階では、師匠に就かずに一人で修行して悟りを開くので独覚ともいわれます。その縁覺・独覚には、「応ぜる十二因縁の法を説き」とあります。十二因縁とは生死輪廻の仕組みを十二項目の縁起で説明した教義です。それを観察させて、そして生死輪廻から解脱させるというのです。

これに対し、「諸の菩薩の為には応ぜる六波羅蜜を説き、阿耨多羅三藐三菩提を得て、一切種智を成ぜしめたもう」とあります。大乗菩薩の道は、基本的な修行としては六波羅蜜である。そして、その修行を経て、阿耨多羅三藐三菩提を実現させるのだというのです。阿耨多羅三藐三菩提の阿耨多羅は、これより上がないという意味です。三藐は正しいという意味です。そして三菩提は完全な悟りと訳されたりします。つまり大乗菩薩に対しては、声聞や縁覚の悟りをはるかに超えた、この上ない正しい完全な悟りを実現させるのだというのです。

全文は『佛教文化』第211号で紹介しています。
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