日本仏教史

第34期 日本仏教史のスクーリング風景

仏教の歴史的展開は、釈尊にはじまり部派仏教→大乗仏教→密教と継承されて今日に至っています。大乗仏教の興起は紀元前後であり、密教の展開は七世紀という流れです。しかし日本への仏教伝来はこの歴史的順ではなく、たとえば奈良・平安仏教に見られるように部派仏教も大乗仏教もまた密教も、歴史の順序ではなく一時期に伝えられたということです。

仏教は釈尊の初転法輪にはじまり、そしてお釈迦様が入滅してより200~300年たって大乗仏教が興起します。大乗仏教の「自分たちは第二の転法輪をなす」という宣言は、大乗経典の基盤となっている般若経に見ることができます。その後、密教が新たな視点をもって登場しますが、私はこの密教の展開を第三の転法輪と呼んでいます。密教を第三の転法輪と位置付けるのは、おそらく誰も言っていないと思います。これまでは第三の転法輪というと、唯識思想と関連する『解深密経』とする考えもあります。それは真諦や玄奘がこの『解深密経』の記述をもとにして「釈尊による初時を転法輪、般若経の二時を照法輪、『解深密経』の三時を持法輪とする三法輪の説をたてていることでも知られます。しかしこの持法輪説は大乗仏教の延長上ととらえるべきであり、密教のように新たな旗標を打ち立ててはいません。

こういった初転法輪、第二の転法輪、第三の転法輪という区分けは、まず、そこにふさわしいお経があること、例えば部派仏教で言えば、阿含経であり、大乗経典では般若経・華厳経・法華経・阿弥陀経があり、密教では大日経・金剛頂経があります。そしてこれらの経はすべて新たな視点をもっているのです。さらにこれらの経に対するいろいろな論書ができました。初転法輪においては大毘婆沙論・倶舎論があり、第二の転法輪では大智度論・瑜伽師地論があり、第三の転法輪では大日経疏があります。そして転法輪を実践する人は部派仏教では比丘たち、大乗仏教では菩薩が登場し、密教では金剛菩薩といった面々です。菩薩とは大乗仏教を推進する人たちのことを言いますが、菩薩にもいろんな段階があるのです。一番よく質問されることは、観音様とか、お地蔵様とか、そういった菩薩と、いわゆる普通の菩薩はどこが違うのだというようなことですね。

※上記は、第34期スクーリングで開かれた小峰彌彦先生の講義の冒頭です。
※詳しい内容、続きを読みたい方は、冊子「佛教文化」第208号をご覧ください。
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